2005年07月24日

ベルセルク第259話『妖虎』

父親の面前で犯した失態をマニフィコが誤魔化そうと躍起になっていた頃、深い霧が舞踏会場全体をすっぽりと覆い尽くそうとしていた。 会場で談笑していた諸侯の一人が、立ちこめ始めた濃霧の存在に漸く気づいたその時、不意に突風が会場に吹き込んでくる。窓は破れ、 燭台の明かりも全て吹き消され、俄に漆黒の闇が会場内に落ちた。隣人の顔すら満足に見えない暗闇の中で、 何かを咀嚼するような不気味な音が響き渡り、婦女子の中には生暖かい飛沫をその身に受ける者もあった。そこに新しい灯りが到着し、 闇に包まれていた会場を照らし出す。

そこで人々が見たのは、一体の獣――獅子とも虎ともつかぬ怪物が、人間を喰らう姿であった。 突如現出したそのおぞましい怪異の光景に人々はパニックに陥り、と同時に妖虎による殺戮が開始される。 阿鼻叫喚の坩堝と化した会場から我先に出口に殺到する人々の中で、ただ一人ファルネーゼだけがその正体を見抜いていた。 「間違いない!!あれは幽界に関わりのあるものだ!!」

妖虎がこちらに向かってくるのを見て取ったロデリックは、ヴァンディミオン当主とマニフィコを守るべく、 剣を抜き放って迎撃態勢を取る。それを見たファルネーゼは、咄嗟の判断で手近なところにあった銀の燭台を手にし、 向かってくる妖虎に敢然と挑みかかっていく!無謀としか思えないファルネーゼの行動に、思わず呆気にとられる一同。しかし、 圧倒的な膂力を見せる妖虎の前に、ファルネーゼは振り回され床に倒されてしまう。 ドレスが邪魔をして思うように動けないところへ襲い来る妖虎に対して、ファルネーゼはもはや観念して目を閉じることしかできない。 ――その瞬間、彼女の背後から一陣の疾風が巻き起こり、次にファルネーゼが目を開けた時にはセルピコの腕の中にいたのだった。

「申し訳ありません。道案内を頼まれまして、少し席を外していましたもので」こともなげに言って、 ファルネーゼに優しく微笑みかけるセルピコ。妖虎は突然現れたセルピコに注意を向けるが、背後に現れたもう一つの存在に気がつき、 反射的に振り返る。そこにはシールケ等を従えたガッツの姿があった。状況を即座に見て取ったガッツは、「どうやら宴も酣ってところか」と不敵に言い放つのだった。



さてさてお待ちかねの本編再開です。
妖虎の襲撃を受けて騒然となる中、ガッツ一行の到着。
失態を演じてしまったマニフィコとしては、絶妙のタイミングです(笑)。
生き延びれば今回の失態はチャラにできそうなんで、マニフィコ君よ、頑張ってイ`!
まぁ、二大剣士がいるんで、
後続の新手が現れるとかそんなことでもなければ、
彼が頑張ることもないんですが。

それにしても今回のセルピコもかっちょええですなあ。
ファルネーゼとキャスカがトロールに拉致された時は
怪我により動けなかったセルピコにとって、
今回は雪辱を晴らしたといったところでしょうか。
状況が全く異なるとはいえ、
ややきわどい形で救出に駆けつけたガッツに較べると、
想い人を救出したセルピコの姿はあくまでも華麗でスマート。
まるっきり王子様ですよねー。
なんだか睫が1.5倍ほど長くなっているような気がしますし(苦笑)。

次回はガッツ×セルピコの剛柔タッグによるVS妖虎戦ですが、
この二人相手となるといかに妖虎と言えども役不足でしょう。
まぁ、瞬殺なんてことにはならないとは思いますが、どうなんでしょうね。
でも、これでヴァンディミオン当主にとって
ガッツは命の恩人ということになるんで、エルフヘルム行きは安泰ですな。
軍艦で送迎なんてことも夢じゃないかも?!

(以下、妄想)
となると、ファルネーゼの想い人がガッツであると知ったロデリックが
送迎志願なんつう展開になって、一行に加わるなんてなことになったりして。
嗚呼、ますます複雑化する人間模様w
でも、ロデリックは妖虎に臆することなく立ち向かおうとするあたり、
胆力も十分あるし、ホントに良い仲間になりそうなんだよなぁ。
位置付けとしてはジュドーっぽい感じだし。
おぉ、これでアザンが合流すればピピンの位置付けになりますな。
コルカスは……マニフィコ君だっ(笑)。
まぁ、流石にマニフィコが同行するなんてことにはならんでしょうが。

それにしても今後あるだろうグリフィスの動向が気になりますね。
すんなりとエルフヘルムへ出立できるとは考えにくいですし。
うーむ、どうなるんでしょうねえ。

posted by 仙道勇人 at 06:41 | Comment(2) | TrackBack(1) | ベルセルク

2005年07月23日

「おまけつき新婚生活」(From MM)

◆ 元気すぎるおばあちゃんは嫌いですか?

 またまたバリモアたん主演の本作、今度のお相手はハリウッドコメ
 ディの貴公子ことベン・スティラーでございます。
 
 ベン・スティラー主演ではありますが、本作は下ネタ炸裂のおバカ
 自慢ではなくて、シニカルさが売りの黒い笑いの方。
 
 「Duplex=二世帯住宅」という原題の通り、本作はNYはブルックリ
 ンの閑静な一角にある瀟洒な二世帯住宅を舞台にしたシチュエーショ
 ンコメディです。
 
 破格の値段で売りに出されていたこの二世帯住宅、それにはワケが
 あって、上階をおばあちゃんが間借りしているんですな。
 
 そんな「オマケ」がついた物件ながら、実際に挨拶してみたらかな
 り病弱そうな感じ。
 
 コイツは長くはもつまい( ̄ー ̄)ニヤリ
 
 と踏んだベン×ドリュー夫婦は、キヨブタの思いで購入を決意、念
 願のマイホームで甘い甘い新婚生活を満喫する……はずだったんで
 すが、90を超えているはずのこのおばあちゃん。
 
 これがかなり元気っ!
 
 言質を取るのが上手い、自分のペースに引き込むのが上手い、近所
 迷惑顧みないと、弾けまくっとるんですわ。
 
 要するに、この小悪魔おばあちゃんこそが、本作の真の主役なんで
 すね。
 
 本作は、このおばあちゃんにどんどんペースを狂わされて、あり得
 ない方へあり得ない方へと追いつめられていく二人の姿をコミカル
 に描いとるわけですが、作品を楽しめるかどうかは、彼女の言動に
 萌えられるか……いや違う、受け容れられるかにかかっている部分
 が極めて大きいと言えるかもしれませんです。
 
 
 ベン・スティラーは、もう殆ど貫禄ものの余裕を感じさせますね。
 お約束的なモノもきっちりこなしてるんで、見ていて安心感があり
 ます。
 
 一方のドリュー。ぶっちゃけ「50回目のファーストキス」だと、
 
 キュートさを意図的に押し出してませんかー?
 
 と感じてしまう部分が微妙にあったりなかったりしたんですが、こ
 ちらでは至って自然体な感じ。ベン・スティラーと一緒に楽しんで
 る様子が伝わってきます。
 
 
 ダニー・デヴィート監督作品ということもあって、全体的にブラッ
 ク風味の作品なんですが、脚本を書いているラリー・ドイルは元シ
 ンプソンズの脚本家という経歴の持ち主。
 
 本作で映画デビューということもあって、人物造形や話の展開など
 に漫画チックな雰囲気を濃厚に湛えとります。
 
 特に話のオチなんかも、いかにもシンプソンズにありそうな……と
 はつまり、非現実的である一方で「チャンチャン♪」ときれいにま
 とめられているんで、そこら辺に目くじらを立てちゃう人は気をつ
 けた方がいいでしょうね。
 
 なんにせよ、シンプソンズが好きな人なら「実写版シンプソンズ」
 のノリで結構楽しめるはず。
 
 ま、万人受けする作風ではないんで、好きな人なら手を叩いて楽し
 めるシーンがてんこ盛りである一方、ダメな人はクスリともできな
 い、そんなかなり人を選ぶ作品なのであります。
 
 ちなみに、仙道は後半の常軌を逸していく展開に
 
 「ありえない、ありえない、ありえない……」
 
 と内心呟きながらも、思わずププッとさせられちまいました。
 
(★★★)

おまけつき新婚生活 2003年 アメリカ
  監督:ダニー・デヴィート
  脚本:ラリー・ドイル
  出演:ベン・スティラー,ドリュー・バリモア,
     アイリーン・エッセル,ハーヴェイ・ファイアスタン
     ジュスティン・セロー,ジェームズ・レマー 他
http://www.omaketuki-movie.jp/

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posted by 仙道勇人 at 19:05 | Comment(0) | TrackBack(8) | メールマガジン

2005年07月03日

ベルセルク第258話『帰巣』

 新生鷹の団・野営地――そこは戦場にして戦場にあらざる別天地だった。

 グリフィスによって救出されたシャルロットはアンナの手を借りてお菓子を拵えていた。陣中見舞いをするという口実で、 グリフィスに会いたい一心からのことだ。何度目かの挑戦の末、上手く焼き上げることが出来た菓子を手に、 シャルロットはグリフィスの元を訪れる。しかし、グリフィスの余りにも神々しい姿になかなか近づくことが出来ない。

 そんなシャルロットとは対照的に、港から帰ったソーニャはグリフィスに飛びついて会えた悦びを全身で表現するのだった。 ソーニャと彼女を無事に連れ戻したミュールに、グリフィスは優しい言葉をかける。その時、グリフィスがシャルロットの存在に気づき、 シャルロットは漸くグリフィスに持参した菓子を差し出す機会を得る。……が、シャルロットの心を読み取ったのか、 ソーニャが当てつけるようにその菓子を奪い取り、手ずからグリフィスに食べさせてしまう。

 「良い香りだ。甘くて何やら口元が緩みます」グリフィスの褒め言葉に思わず頬を染めるシャルロット。 二人の間に流れる空気を察したミュールは、気を利かせてソーニャを連れてその場から離れていく。 「何年も敵の中でただ一人きりでどれほどの孤独と不安に苛まれておられたか……それがやっと想い人との再会が叶ったのだから」 そう言ってミュールは二人の間を邪魔しようとするソーニャを責めるのだった。面白くないソーニャは、 憮然とした表情で一人何処かへ去っていく。

 その夜、ソーニャは森で一人佇むアーヴァインの姿を見つけ、彼の焚き火に身を寄せる。 彼の奏でる楽の音に感じるものがあったソーニャは訊ねる。「あなたはいつも独りね。寂しくないの?」 それにアーヴァインはこともなげに答える。「自分は猟人だ。一人の方が落ち着く」と。しかし、 獲物を追って深い森の中に一人潜み続ける猟人は「いつしか自分も一匹の獣になっている」のだとも。

 それを聞いたソーニャは「自分も独りだった」と呟く。人には見えないものが見え、人には聞こえない声が聞こえるソーニャは、 ずっと人とは違う世界に閉じ込められていたのだ。「……孤独と不安だったのはあの人だけじゃないんだから」そう言うと、 ソーニャは深い眠りへと落ちていくのだった――。

 


 

今回も一週間遅れの更新となってしまいますた(汗)。

えー、今回の話はシールケ達と別れた後、
グリフィスの所に戻ったソーニャのお話……なんですが。
正直、今の流れを切ってまで挿入するようなもんではないよなあ。
というのが率直の感想だったり。

『巫女』であるソーニャが他人と違う世界で生きてきたことや、
孤独で不安だったという話は、シールケとの対話で既に描かれているんで、
ソーニャとグリフィスファン向けのサービスエピソードかなあ、なんて思ったり。

でも、幾つか分かったこともありますね。
まず、ガッツ達が舞踏会場に踏み込む前日の段階で、
グリフィスは何やら準備に相当忙しいというシャルロットの証言が一つ。
これは攻めてくるクシャーンに対して
何らかの対策を施しているものと思われます。
ここでクシャーンを退けてヴァンディミオン家当主に
新・鷹の団のスポンサーになって貰おうとかそんな感じでしょうか。
(あ、こんなんばっかや)
ということは、近い内にガッツとグリフィスがニアミス!
なんつうこともありえないことではないかも……って流石にそれはない罠。
でも、グリフィスと思いがけず遭遇したガッツが、
意に反して狂戦士化して……なんて展開になったら
かなり燃えるよなー。(や、妄想です)

次、もう一つ判明したのが、アーヴァインって喋れたんだっ(笑)!
なんか普通のお兄さんみたくソーニャに接してますが、
あの帽子で楽器を爪弾かれちゃうと、どうしてもスナフキンを(ry
それはともかく、「いつしか自分も一匹の獣になる」という台詞、
これは中島敦の「山月記」を髣髴させるものがありますね。
使徒となったということは、人よりも「過剰な何か」をもっていたということですし。
更に中島敦には弓道の名人になろうとした男の話を描いた
「名人伝」という作品もありますんで、
魔射手?のアーヴァインにはピッタリな感じ。
(とか思ったんすけど、やっぱり無理があるかなぁ)

ちなみに、このアーヴァインの「獣」の話は、
クリフォト内のシールケが魔道の極意として回想したフローラの言葉、
「あなたが闇を覗いている時、闇もあなたを覗いている」に通じるモノがありますよね。
勿論このフローラの言葉はニーチェの言葉を踏まえているのですが、
該当部分の前に「怪物」に対する注意があります。

怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。

このニーチェの言葉は、今回のアーヴァインの台詞に何気に符丁しますね。
つまり、闇に落ちた者が使徒であり、闇を御す者が魔術師である。
そんな感じで、根源的な部分は同じなのでしょう。
興味深いのは、作品世界ではその価値が転倒していることですよね。
魔の軍勢を率いるグリフィスが英雄(神聖)視され、
魔術をなすシールケを同伴するガッツらは邪な存在と忌み嫌われているという……。
この転倒が物語のダイナミズムを生み出しているんですけどね。

ま、なんにしても早く続きを読ませてクレー。

posted by 仙道勇人 at 23:29 | Comment(0) | TrackBack(2) | ベルセルク

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