2005年09月27日

「狼少女」を観る

えー、昨日は元々映画美学校での試写にいく予定だったのですが、
その前に銀座でも別作品の試写があったので、タイミング的に二連チャン強行。
一睡もしないという最悪のコンデションだったんですが、
行きの電車で30分ほど瞑目し続けていたのが奏功したのか、
試写鑑賞には影響無しだったのは意外な発見でした。
疲れ目も治まっていたし、瞑目効果はかなり高いようですな。

で、試写なんですが、一本目は銀座で「狼少女」。
こちらは10/22から開催される
第18回東京国際映画祭、「日本映画・ ある視点」部門上映作。
「昭和」のある地方都市の小学生の出会いと別れを描いた作品で、
不思議大好き少年明を主人公に、
明のクラスに転校してきた都会のお嬢様・留美子、
明のクラスメイトで家が貧しくクラス中から嫌われている秀子、
この三人がひょんなことから次第に友情を育んでいく姿を描いとります。

あらすじ(資料より)
主人公の大田明は小学4 年生。美少女の転校生の手塚留美子や、
クラスのいじめられっ子の小室秀子と、ふとしたことから仲良くなっていく。
そんな彼が最も興味を持っているのが、街に巡回興行でやってきた見世物小屋。
学校からも親からも「危ないから近づかないこと」と言われるほど、
見たい気持ちは高まるばかり。そんなある日、演し物のひとつ「狼少女」の正体が、
秀子だという噂が流れ始める・・・

昭和という時代を舞台にしているものの
「昭和のいつ」なのかが判然としないなど気になる点は少なくないんですが、
映像には確かに「昭和」の雰囲気が色濃く湛えられてますね。
昭和という漠然とした時代を背景にしたドラえもん的な世界とでも言いますか。
登場するちびっ子達がいかにも「あの時代の子供」っぽくてイイ。
半ズボンに秘密基地、グリコじゃんけん、
そして穴掘り(←確かに意味不明に穴掘りに熱中していた時期があった気がするw)
特にガキ大将という存在の微笑ましさと言ったらないですな(笑)。

割と穴のある脚本ではありますが、
この脚本は前述のガキ大将を筆頭に、
ガキ大将に媚びる金魚の糞、家が貧しいという理由で嫌われる女子、
成績優秀でかわいい都会からの転校生といった
当時を偲ばせるクリシェで徹底的に劇を構成しているのがキモ。
貧しさを理由にした排除(=イジメ)なんて余りにも典型的すぎる構図なんですが、
それすらも溢れかえる昭和的クリシェの一部として実に自然に描かれてます。
特にクリシェを単純にちりばめるだけで終わらせず、
それを上手く利用して劇的転換に結びつけている点はなかなか効果的。
子供らしい残酷さと素直さを上手く掬い取れてると思う。

作品が醸す時代の空気を共有できないと話にならないみたいなところがあって
基本的には若い人向けの作品ではないですが、
一定の年代以上の人には身に覚えのある光景がバンバン出てくるんで、
懐かしい気持ちがこみあげてくるんじゃないでしょうかね。
ちなみに筆者なんぞは、懐かしさ以上に
ある種の罪悪感がこみあげてきてしまって些か弱りましたorz
子供時代のある明瞭な記憶を喚起されてしまう人も相当いるんじゃないですか、これ。

狼少女 2005年 日本
監督:深川栄洋
原案・脚本:大見全 脚本:小川智子
出演:鈴木達也 大野真緒 増田怜奈 大塚寧々 利重剛
    手塚理美 馬渕英里何 なぎら健壱 田口トモロヲ 西岡徳馬 他
http://www.eiga.com/official/ookami/ (公式ホームページ)

1/28(土)よりキネカ大森にてロードショー!
テアトル梅田ほか全国順次上映!

二本目は「私の頭の中の消しゴム」のチョン・ウソン主演の「トンケの蒼い空」。
今夜にでもアップしますのでしばしお待ちを。
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posted by 仙道勇人 at 11:33 | Comment(0) | TrackBack(9) | 試写報告

2005年09月22日

「四月の雪」を観る

いつの間にか公開していた(や、単に失念してただけですが)
ホ・ジノの新作「四月の雪」を近所のシネコンにて。
いやー、レディース・デイってのもあるんでしょうが、
ヨン様&ジョニデのダブル効果のせいで人人人でエラいことになってますた。
とはいえ、座席的には三席独占でゆったりと鑑賞。
フロアのあの人混みはなんだったんだ……。

で、作品なんですが、うーむ。
これ、本当にホ・ジノの作品なの?つうくらい凡庸極まりないぞ。
大体、ホ・ジノってこんなに役者のアップを多用する画作りする人だったっけ?
これじゃ、ヨン様人気に当て込んだアイドル映画と揶揄されてもしょうがないんじゃあるまいか。
正直、ホ・ジノが撮る必要なんてあったんだろーか……。

物語は、事故によってお互いの伴侶が不倫をしていたことを初めて知った男女が、
降って湧いたような事実に戸惑いながら、
同じ境遇から互いの心の隙間を埋め合うように惹かれ合ってしまうという不倫劇。

冒頭から序盤にかけてはホ・ジノ的な雰囲気で実にイイ感じなんだよね。
状況説明だけで問題の核心(伴侶の知られざる不倫)を
ジワジワ炙り出していく静かな語り口というかね。
でも、本当にそれくらいしか観るべきところがないってのはどういうことよ(涙)。
後はもう、やたらめったらヨン様に寄りまくるカメラワークのオンパレード。
男女の機微とかドロドロ情念とかを掘り下げるでもなく、
ただただ乳繰り合ってるだけにしか見えん。

ヨン様とソン・イェジンがひっつくのも、
必然性というか説得力があんまりないし、
ひっついた後もお互いに意識不明の伴侶がいるという
「現実の切なさ」みたいな部分が申し訳程度にしか描かれていないので
メロドラマとしても不完全燃焼。
あれだ、この作品には「不倫」というシチュエーションの背徳感とか
互いの存在に溺れるような陶酔感とか官能性というものが
すっぽり抜け落ちてるんだなあ。
どうも全編を通じて小綺麗にまとめ過ぎで、見応えがないんだよね。
ヨン様ファンには最高の映画かもしれんけど、
ホ・ジノファンにとっては悪夢のような作品なんじゃないの、これ。
個人的に本年度ナンバーワンの肩透かし作品だ。
結構楽しみにしてたのになあ〜〜〜。

四月の雪 2005年 韓国
監督・脚本:ホ・ジノ
脚本:シン・ジュノ、イ・ウォンシク、ソ・ユミン、イ・イル
出演:ペ・ヨンジュン ソン・イェジン イム・サンヒョ リュ・スンス 他

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posted by 仙道勇人 at 02:27 | Comment(0) | TrackBack(7) | 劇場鑑賞報告

2005年09月21日

「シン・シティ」を観る

厚生年金会館までの道すがら雨に濡れたせいか、
ちょっと頭痛がする……酷くしないためにも寝ておきたいんだけれども、
どうにも眠れないので昨夜の試写の印象をダラダラと。

本作はロバート・ロドリゲスと原作者のフランク・ミラーによるコラボレーション。
一言で言うと、クール・スタイリッシュ・グロ(あ、一言じゃねーわ)。
全編CGで描き込まれた背景や
モノクロームの映像の中に部分的に浮き上がる原色と
とにかくスタイリッシュな映像が最高にイカしてる。
背景は原作のコミックから取り出してCG加工されてるらしいんだけど、
コミックの「映像化」という点では、これ以上はないんじゃないかというクオリティっす。
高所から飛び降りたりといった、
いかにも「漫画」なド派手アクションもダイナミックで観応えアリ。

ストーリーは犯罪と暴力が日常の暗黒街「シン・シティ」を舞台にした
三つの独立したエピソードが描かれてるんですが、
それぞれ微妙に異なる時間軸の物語で
最後のブルース・ウィルスのエピソードで前の二つのエピソードと
ちょっぴりクロスオーバーするシーンがあったり、
ギャグっぽい演出が随所に見られたりと遊び心も満点。

各エピソードの主人公は
ミッキー・ローク(一世を風靡した優男の面影無し!)、
クライヴ・オーウェン、そしてブルース・ウィリス。
どのエピソードも愛する女のために凄絶な戦いを繰り広げる男の物語で、
クールでタフなピカレスク・ロマンが爆発!
ただ、ミッキー・ロークとブルース・ウィリスのエピソードが
極めて明快な構図であるのに対して、
クライヴ・オーウェンのエピソードは
設定がちょっと複雑すぎて消化し切れていない感じ。

気になったのは各主人公の「語り」によって物語が進行している点と
バイオレンス描写がややグロすぎる点。
前者は多分原作をそのまま踏襲しているんだろうけど、やっぱりちょっと煩い。
後者はモノクロの映像でかなりアクを抜いてるとはいえ、
手首がぶっ飛んだり、頭が真っ二つになったりと、
かなりグログロな映像が当たり前のように挿入されてるんで
その手の映像が苦手な人は覚悟して観に行った方が無難かな。

なんでも続編と続々編の製作が決定してるらしいんだけど、
単純にキャラが変わるだけならあんまし面白味がないかなぁ、なんて思ったり。
ま、どういう続編が出てくるのかちょっと楽しみではありますな。
それにしても、ロアーク枢機卿としてルトガー・ハウアーが出演しとるんですが、
「ブレードランナー」の頃の面影が全くないじゃないの(涙)。
これじゃ、「バットマン・ビギンズ」に出てても気づかないわけだよ……。


INTROの方でもう少し突っ込んだ作品評を掲載しています。
シン・シティ評/「徹底した美意識が描き出すピカレスク・ファンタジー」


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シン・シティ 2005年 アメリカ
監督・脚本:ロバート・ロドリゲス&フランク・ミラー
特別監督:クエンティン・タランティーノ
原作:フランク・ミラー
出演:ブルース・ウィリス ミッキー・ローク クライヴ・オーウェン
    ジェシカ・アルバ ベニチオ・デル・トロ イライジャ・ウッド
    ジョシュ・ハートネット ブリタニー・マーフィ デヴォン青木
    ロザリオ・ドーソン ニック・スタール マイケル・クラーク・ダンカン
    ルトガー・ハウアー マイケル・マドセン ジェイミー・キング
    アレクシス・ブレデル 他
http://www.sincity.jp/

posted by 仙道勇人 at 05:48 | Comment(3) | TrackBack(26) | 試写報告

2005年09月18日

「バットマン・ビギンズ」を観る(From MM)

◆ バットマンはかく生まれり

 アメコミで最も有名なスーパーヒーローの一人、バットマン。
 
 これまでにも様々な監督がバットマンワールドを
 独自の感性で映像化してきましたね。
 
 今までの映画版がコミックの延長線にあるとすると、
 今回のバットマンは超リアル志向。
 
 NYの摩天楼を思わせるゴッサムシティを筆頭に、
 本作ではスーツからモビールに至るまで、
 実際に存在しそうなリアリティを徹底的に追求しとります。
 
 もう一つ、バットマンというと必ず登場するのが悪役ですね。
 これまでにも「ジョーカー」「怪人ペンギン」「Mr.フリーズ」と
 個性豊かでユニークな悪役が登場し、
 バットマンと死闘を演じてくれました。
 
 が、今回の敵役が非常に微妙。
 
 従来作と比較してしまうと、
 キャラ的にもどうしても物足りなさを感じちゃうんですね。
 
 作中ではドッカンドッカン結構なアクションが連発されているのに、
 観終わった後になぜか不完全燃焼感がつきまとうという……。
 
 バットマン好きの中には、
 「こんなのバットマンじゃねえええぇぇ」
 と叫びたくなる人もいるかもです。
 
 確かにこれまでの映画版と同じ感覚で観てしまうと、
 どうしても不満の残る作品に見えるのかもしれません。
 
 がっ!
 
 本作の脚本にはとんでもない仕掛けが施されてるんですよ。
 
 実はこの作品、バットマンワールドを解体した上で、
 ニーチェの思想を土台に再構築されてるんですわ。
 
 ブルース・ウェインとは何者なのか。
 ゴッサムシティとは何か。
 バットマンが戦い続ける意味は何か。
 
 そうした一切が、全てニーチェの思想に基づいて脚色がなされてる
 んです。
 
 正直言いまして、ここまでニーチェの思想を咀嚼しながら、
 娯楽アクション映画として成立させているということ自体、
 殆ど奇跡に近いと言っていい「事件」です。
 
 細かい説明はここでは無理なんで、
 一番分かりやすい部分だけ例に挙げましょう。
 
 本作では「なぜ転落するのか?――それは這い上がるためだ!」
 という印象的な台詞が何度か繰り返されますが、
 これがもうあからさまにニーチェ的なんです。
 
 「転落=没落」と「這い上がること=上昇する意志」
 っていうのは「ツァラトゥストラはこう言った」で、
 何度も言及されるニーチェの根本的な態度なんですね。
 
 この本の中で、ニーチェは
 預言者ツァラトゥストラを彼の理想のために没落させています。
 
 全く同じように本作冒頭のブルース・ウェインも、
 自らの理想のために悪の世界に転落しています。
 その後、バットマンとなるための力を身につけるという展開は、
 このツァラトゥストラを踏襲したものとなっているわけです。
 
 また、本作ではブルース・ウェインがバットマンとなる過程で
 精神的試練を乗り越える姿が描かれているんですが、
 これも「ツァラトゥストラ〜」の「三段の変化」という章で
 述べられている部分と完璧に合致するよう描かれてます。
 
 ……まだまだ根拠はあるんですが、
 こうして作品を見渡せば見渡すほど、
 本作にはニーチェの影が色濃く覆っていることが分かるんですね。
 
 
 そうした視点で描かれる本作のバットマン像は、
 もはや従来の「悪をもって悪を制す」というような
 単なる「ダークヒーロー」とはかけ離れた存在になっています。
 つまり、ニーチェ思想の真なる実践者、
 「超人への道をひたむきに歩んでいく孤独な実践者」なんですね。
 本作に感じる違和感があるとすれば、
 この両者のギャップゆえなんじゃないかと思います。
 
 バットマンの苦悩を単純な「善悪論」に基づくものではなく、
 ニーチェ的な葛藤として捉え直しながら、
 バットマンワールドを完璧に維持している本作は、
 アメコミの実写版などという狭っこい枠組みを遥かに超えた
 途方もない傑作と言えます。

(★★★★★)

◆◇ 今週のキメウチ ◇◆

・ニーチェ好きならとにかく行くべし。
・今までの映画版は忘れるが大吉
・アクション映画としてもきっちり楽しめる。
仙道の一言ぽつり:ケイティ、どうしちゃったんだ、ケイティ……

<追記>
できればニーチェとの関連をより詳細に論じたモノを書きたいのですが、
時間が……(泣)。
でも本当に凄いんです、この脚本!
ちなみにバットマンは上述の通り、ツァラトゥストラなんですが、
(作中でもビルから街を見下ろすバットマンというショットが
何度か挿入されていましたが、アレはツァラトゥストラのイメージそのまま)
ブルース・ウェインはニーチェの言うところの『貴族的な人間』です。

バットマン・ビギンズ 2004年 アメリカ
  監督:クリストファー・ノーラン
  脚本:クリストファー・ノーラン,デヴィッド・S・ゴイヤー
  出演:クリスチャン・ベール,リーアム・ニーソン
     モーガン・フリーマン,ゲイリー・オールドマン,
     渡辺謙,ケイティ・ホームズ, ルトガー・ハウアー 他
http://www.batman-begins.jp/

 

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posted by 仙道勇人 at 07:59 | Comment(10) | TrackBack(67) | メールマガジン

2005年09月15日

「私の頭の中の消しゴム」を観る

■「良質な」メロドラマなのです

 ベルセルクレビューばっかりで映画関連のエントリーのエントリーを
 すっかり書くのを忘れていた当ブログ。
 これじゃイカンと、メモ書き代わりに印象をザザザッと書くことにしますた。

 今夜行ってきたのは日本のドラマが原作の「私の頭の中の消しゴム」。
 緊急追加試写だったんですが、場所がななんと九・下会館!
 すんげーなあ臓臓と思って足を運んでみたら
 高校生の制服姿がチラホラリ。

 ん?マスコミ試写じゃなかったの?

 まぁ、いいんですけど。

 作品は、「若年性アルツハイマー」を題材に、
 男女が出会い、結婚し、幸せの絶頂の中で彼女に病気が発症して臓臓。
 というもの。

 画とか本当に丁寧に作り込んでるし、何より役者がいいっすね。
 チョン・ウソン、かっこいいね。
 ソフトマッチョな肉体美で、ソン・イェジンをひょいっと持ち上げて
 お姫様だっこ、お姫様だっこ、お姫様だっこ!
 いやー、ワイルドな感じで人気出るんだろうなあ。

 ヒロイン役は、17日からの「四月の雪」が公開待機中ののソン・イェジン。
 この人、表情の表現力が・晴らしいわ。
 画面に引き込むタイプの演技をするんで、「四月の雪」も楽しみだなあ。

 物語は、まぁ、誤解を恐れずに言えば「愛」というものの情感を
 巧みに掬い取っているだけなんで、メロドラマですわなあ。
 ただし良質の、ね。
 どうも「愛」というものに対する異化作用まで昇華し切れていないんですな。
 これ、チョン・ウソン側の愛とソン・イェジン側の愛、
 両方を同時に描こうとしたからなんですけど。
 どっちにも共感できるような作りなんで、
 感動の間口は広いと思うんですが、
 深みとか重みは臓臓正直感じられなかったかな。

 でもま、涙腺弱い人はやられちゃうでしょう、これは。
 正直、あるシーンではちょっぴりウルウルしちゃったもんなあ。
 ・直に泣きたい、感動したいという人にはお勧めかも。

 あぁ、そうそう。
 韓国のファミマが大活躍してて、色々な意味でちょっとワロタ。
 つうか、レジの人「また故障かよー」みたいなこと言ってたけど、あれはいいのか?!

私の頭の中の消しゴム 2004年 韓国
監督・脚本:イ・ジェハン
出演:チョン・ウソン ソン・イェジン ペク・チョンハク
    イ・ソンジン パク・サンギュ キム・ヒリョン 他

posted by 仙道勇人 at 23:47 | Comment(0) | TrackBack(33) | 試写報告

2005年09月13日

ベルセルク第262話『宣戦布告』

 ガッツ一行の活躍により怪異から解放された舞踏会場では、早くも貴族・貴婦人達による穿鑿が始まっていた。 特に人々の口の端に上ったのは、法王庁教圏の最有力者であるヴァンディミオン卿の息女・ファルネーゼが異端の魔術を行使したことであった。 しかし、そんな人々の中で、ファルネーゼの母だけはファルネーゼが魔術を使ったことよりも、彼女が誰かに心を許す姿を見て、 一人感慨に耽っていた。

 その時、衛兵達が漸く会場に姿を現し、その場にいたガッツ一行は会場を襲った賊と見なされて取り囲まれてしまう。が、 ヴァンディミオンの取りなしにより衛兵達は矛を収め、会場からは感謝の喝采が湧き起こる。ヴァンディミオンは更に言葉を続け、 会場を襲った妖虎達がクシャーンの軍用獣であることを喝破し、人々をあっさりと納得させるのだった。しかしその一方で、 ファルネーゼが魔術を用いたことに対する見解を求める声が上がり、会場は俄に騒然となる。それでもヴァンディミオンは眉一つ動かすことなく 「恐らくそれは幻覚でしょう」と言ってのけ、法王庁教圏の首脳部に打撃を与え、連合軍を混乱させようとする敵の計略であるとして、 その場を収めてしまうのだった。
 その余りにも強引な論法に、その場にいた多くの人々が半ば呆れ、半ば感心する中、突如として会場に霧が逆巻き始める。 喫驚する人々が見守る中で集合した霧が形作ったのは、一つの巨大な顔――それは紛れもなくクシャーンの恐帝ガニシュカのものであった。 再び会場に現出した怪異に対し、茫然自失の体でただ中空を見上げるばかりの人々の前で、ガニシュカは連合軍への宣戦布告を宣言し、 何処ともなく消え去ってしまう。
 烙印の反応により、ガニシュカが使徒であることに気づいたガッツは、使徒が王であることに驚きと戸惑いを隠せない。「…… お前達は近きうちに再度使徒どもと相まみえることになろう」――ガッツの脳裏に髑髏の騎士の言葉が甦る。 使徒達の先には必ずグリフィスがいる……。思いに囚われているガッツを心配げに見上げるシールケが声をかけようとした時、 再び周囲が騒然となる。港の方角の空が赤く染まっているというのだ。港に停泊中の船を燃やすその炎は、ガニシュカの宣戦布告通り、 クシャーンによる先制攻撃が始まったことを告げていた。


 

妖虎戦が終わったんで、まったりと事後処理かと思いきや、
意外にもガニシュカ登場で宣戦布告ときたもんだ。
つうか、あれだけ方々で暴れ回っていて、
しかもウィンダムまで占領しておきながら、
まだ宣戦布告をしていなかったガニシュカって一体……。
律儀なんだか間抜けなんだかわかりませんな(苦笑)。

しかし、これでグリフィス登場の舞台は整った感じですね。
宣戦布告して正式に来襲してきた敵軍を追い払うなんて、
英雄登場のタイミングとしてこれ以上ないですし。
こう考えると、ガニシュカは完璧に
グリフィスの引き立て役って感じですなあ。
グリフィスに盾突いてみせるなんて豪語してたガニシュカも、
自身の意に反して因果律に踊らされてる感ありありです。
なんか言動が一々大げさなだけに、逆に哀れを誘いますな。

それはともかく、
ガッツは使徒が王であることに
エライ衝撃を受けてるみたいですが、
これまでにも伯爵とかいたし、
そこまで驚くことでもないような気もするんですが……。
しかし、あれですな、
これでグリフィスと会ったら、
ガッツはまた「挑む」か「守る」かで
引き裂かれそうな感じですね。
まぁ、引き裂かれても結局は「守る」方へ傾くんでしょうけど。
それとも狂戦士の鎧が発動しちゃって
エライこっちゃになってしまうのかなあ。
それはそれで楽しみではあるけど、
正直、早くエルフヘルムに行って欲しいなあ。

にしてもヴァンディミオンの「幻覚説」は、
一ミリも説得力ないですよねー(苦笑)。
まぁ、公衆の面前で魔術を使ってしまった以上、
ヴァンディミオンとしても
「ほとぼりが冷めるまで帰ってくるな」
くらいのことを言って、
ファルネーゼを送り出してくれるかも?

クシャーンの攻撃が始まっちゃったんで、
また暫くガッツサイドから話が逸れそうですが、
燃える港ではアザンが孤軍奮闘してたりして。
あぁ、次号が待ち遠しいなあ。

posted by 仙道勇人 at 21:21 | Comment(2) | TrackBack(2) | ベルセルク

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