……凄えですよ、これは。
基本的に物語の展開ということに関しては滅多に動じることがないんですが、
この作品は完全に裏を突かれちまいました。
とりあえず、観終わって思ったのは
ちくしょう、やられたっ!!
ということでしたから。
気持ち的に「合わせ技」で一本取られたと言うか……(負け惜しみ)。
とにかく、ここまで予想を裏切ってくれたのは、
恐らくブライアン・シンガーの「ユージュアル・サスペクツ」('95)以来かもしれんです。
「ユージュアル・サスペクツ」は、「カイザー・ソゼ」と呼ばれる裏世界の大物の正体を
割り出していくという単純なサスペンスなんですが、
複数の参考人の供述が皆それっぽく、最後の最後までカイザー・ソゼの正体が見えない。
見えないんだけれどもその存在感だけはビンビン伝わってきて、
最後にカイザー・ソゼの正体が明かされた時、
ゲエェェェェ、こいつだったのかよっ!!!
と悶絶させられるという驚愕必至の作品。
まぁ、それだけなんでゲーム感覚に近いんですが。
で、本作「オールドボーイ」も、同様に
まさかそういうことだったのかっ……と絶句させられるは必至。
「なぜ15年間も監禁したのか」「復讐」という二点を梃子にして、
最後まで緊張感を失うことなく一息に見せ切ってしまう演出力の高さ。
至るところに張り巡らされた伏線が、最後のクライマックスへと
鮮やかに収斂されていくシナリオの妙味。
これだけでも十分すぎるんですが、
本作はそれに加えて「はしごの外し方」が絶妙すぎるときてるんですから。
サスペンスとしては、もう堪りませんですよ。
本作が凄いのは絶句させられて終劇、ではなくて、
そこからドロドロの修羅場が繰り広げられることにあるんです。
もうホントに見てらんないくらいのまさに「修羅場」なんですが、
そこには人間のグログロしたどうしようもないエゲツなさと、
泣きたくなるほどひたむきで崇高な思いが交錯してて、
どうにも目が離せなくなってしまうのですよ。
ここまで来ちゃうと、ラストが「衝撃的か」否かというのはそれほど重要ではなくて、
この聖と俗が凝縮されたラスト10分で、お腹一杯になっちゃう感じなのですね。
このラスト10分を全身で受け止めて見せたチェ・ミンシクの熱い仕事っぷりも、
ただただ最高の一言に尽きます。
ただまぁ、物語の背骨を支えるはずの
「監禁の理由」というのが、どうにも弱い印象は残ります。
丁寧に組み上げてるんで支え切れていないとは言いませんけど、
なにせ「15年間監禁」ですからね、
「それであれかい!」という感じはどうしたってしちゃいますわな。
もっとも「そんなことで?」というものだからこそ、
逆に「15年間監禁」を実行した犯人の抱える
闇の深さが仄見える構図、とも言えるんですが。
なんにせよ、この部分をどう受け止めるかで、
本作の見方はかなり変わるかもしれんですな。
個人的には、「監禁の理由」を解き明かすことは
物語の山場ではなくて、その前の前菜みたいなものなので、
些か肩すかしを食らった感じではありましたが、
主菜が美味しすぎて(悲痛すぎて)どうでもよくなっちまいました。
とりあえず、タランティーノ映画が好きな人なら、
観て損はしないこと請け合い。
問答無用の120分、極上のエンターテインメントです。
(★★★★+★)
オールドボーイ
2003年 韓国
監督 パク・チャヌク
脚本 ファン・ジョユン,イム・ジュニョン,パク・チャヌク
出演 チェ・ミンシク,ユ・ジテ,カン・ヘジョン 他
この記事が気に入っていただけましたか?よければ 人気blogランキング クリックお願いします!

「ユージュアル・サスペクツ」私も大好きです。
あれにはやられましたね。
タランティーノ絶賛!というのも納得の作品でした。
ハリウッドでリメイクが決定しているそうですが、この映画の完成度が高いだけに、やめておいた方が良いように思います。
現代のギリシャ神話といったら言い過ぎかもしれませんが、オイディプスを想起されられる話で非常に衝撃的でしたね。
ということで、これからもよろしく
後で確認してみたらプレスの方でも「ユージュアル・サスペクツ」との近似性を押しているのですね。あれを読んだ時、やっぱりなーと思いました。後は「セブン」も挙げられていましたが、個人的にはやはり、「ユージュアル・サスペクツ」の意外性に近いかなーと思いました。
ハリウッドでのリメイクは私も反対ですね。多分、これ以上のものにはなり得ないと思いますから。なんか、ハリウッドのリメイク癖(しかも改悪が多い)もいい加減ウザイです。そろそろ衰退ですかね……。
まさにその通りですね。ただの謎解きサスペンスにはない境地に到達している作品だと思います。韓国は儒教の影響が根強いですから、こちらより衝撃度は上だったでしょうね。
こちらこそ、よろしくお願いしますね。
そうですか。「監禁の理由」は、どうにも弱いですか。確かに、現実として想定すると、弱いのかもしれませんね。評価が分かれるところでしょうね。
個人的にはカン・ヘジョンが劇中で呟く「そんなことで人を15年も……」という台詞に完全同意でした。監禁は15年間ですが、計画期間を加えるとそれ以上になりますし。でも、犯人の思いはちゃんと描かれていましたから、欠点と言うほどではないとも思いますが。
チェ・ミンシク、凄い熱演でしたね!
実は、私、観る前に、そうとは知らずに、オチの肝となる設定を勝手に認識しちゃってましたw
それだけに、あのオチが判明する時点で、何とも複雑な想いがしたものです””
観る前からオチを見切るとは凄いですね!
私はまんまとしてやられました、わはは。
ポカーン……な、なんだってぇぇぇって感じでしたw
「おれたちはすべてを知って愛し合った。おまえたちはどうだ?」
この問いかけの答えとなったのがエンディング。
デスは逆にすべてを忘れて愛し合うことを選択しましたね。
これも本国ではかなりの反響だったのではないでしょうか。
親族の愛など超タブーらしいですから。
また寄らせてもらいます。
まぁ、日本でも結構衝撃的だったと思うんですが、そんなでもなかったんでしょうか。
ワタシアタマカタスギデスカ。