2005年08月31日

ベルセルク第261話『錆びた鳥籠』

 為す術もなく竦み上がる貴族、貴婦人達の居並ぶ前で、ガッツはまた四頭の妖虎を切り捨てる。その圧倒的な強さを目の当たりにし、 貴族達の中には状況も忘れてガッツを自軍に引き込もうと目論む者も出る始末だった。 そこへガッツの目を盗んだ一頭の妖虎が襲いかかっていくが、イシドロの投じた炸裂弾によって事なきを得るのだった。

 一方、シールケとファルネーゼの近くにいた婦人達の元にも、一頭の妖虎が近づきつつあった。それに気がついたシールケが、 些かも動じるそぶりを見せず呪文と共にバッグを開けると、二本の紐状の物体が勢いよく飛び出していく。 その紐状の物体が音もなく妖虎に近づき、前肢に絡みついてその動きを封じる光景を眺めていたファルネーゼに、シールケは言う。「茨の蛇。 私の作った使い魔です」――それは海辺で襲撃を受けた際に、肉体を持つ敵にも即応できる手段が必要と感じたシールケが、 暇を見て拵えたものだった。シールケはファルネーゼに蛇達と同じ蔓で編んだ指輪を与え、"茨の蛇"の主がファルネーゼであることを告げる。 自分の指に収まった指輪を自信なさげに見つめるファルネーゼに、シールケは「大丈夫。今のファルネーゼさんになら扱えます」 と太鼓判を押して励ますのだった。

 その頃、ひたすらドラゴン殺しを振るうガッツの元に、思わぬ援軍が現れていた。ロデリックである。「あんた、 ファルネーゼの知り合いかい?」気さくに話しかけるロデリックを、ガッツはニコリともせず制止する。「やめとけ。 シロウトが手ェだすと怪我するぞ」それに対しロデリックは「そうも言ってられないのよ。惚れた女の手前」と答えるや、 冷や汗混じりで必死に妖虎に立ち向かっていく。しかし、もとより通常の武器では歯が立つわけもなく、 ロデリックの細身のサーベルはあっけなくへし折られてしまう。瞬く間にロデリックは窮地に陥るが、 それを救ったのはファルネーゼの"茨の蛇"達だった。無数の"茨の蛇が"妖虎の動きを絡め取る光景に喫驚するロデリックに、 ファルネーゼは銀の武器を使うように叫ぶ。ロデリックは戸惑いながらも、手近なところにファルネーゼが使っていた銀の燭台を見出し、 それで妖虎の息の根を止めるのだった。

 そうこうしているうちに、不意に妖虎達が静かになった。 セルピコが敵術者達を一掃したことを悟ったガッツの言葉を受けたシールケは妖虎達に金縛りをかけ、完全に封じ込める。 自分達の無事に沸き返る会場で、漸くガッツはファルネーゼに声をかける。「ここにゃお前の親兄妹がいる。お前の見知った貴族の世界だ。 ここがお前の旅の終着地か?」思いがけないガッツの問いかけに、しばし黙考した後、ファルネーゼは徐に口を開く。「いいえ。 この石の籠の中でようやくわかりました。ここは私の戻る場所ではない、もう昔に旅立った場所なのだと。ただ懐かしくて立ち寄ってみた…… それだけです」そう言い切ってみせたファルネーゼの双眸に、もはや迷いの影は寸毫も見られないのだった。


 

今回は場面の転換が激しいので、色々と書くことがありますなあ。
えーと、まずはその1。
使い魔「茨の蛇」の登場!
これでファルネーゼも銀の短剣持ってわーきゃー言ってるだけじゃなく、
戦力の一端を担える存在としてランクアップですね。
遠くから敵を牽制することも可能ですし、何より数が半端じゃなく多い!
最終的に一抱えくらいの量になってたんで、
もしかしたらバラで使うだけじゃなく、
合体させて大蛇みたいにすることも可能な気がする。
これはなかなか侮れませんぜ。

その2。
ロデリック頑張ってますなあ。
いやあ、イイねイイねー。
なんかますます好きなキャラになってきましたわ。
「そうも言ってられないのよ。惚れた女の手前」
なんてあっさり言ってのけちゃうところを見ると、
結構マジだったんですね。
つか、作品内では会って当日の話ですよね、これ。
つうことは一目惚れって奴ですか?
しかし、まあ、これでロデリックが自船で送迎って線が濃厚になりましたな。
「惚れた女の手前」理論wで行けば、自ら送らにゃ男がすたるってもんでしょ。
「必ず無事に連れ帰ります」とか言えば、
ファルパパにも良いところ見せられるし一石二鳥だぞ!

その3。
ラストのファルネーゼのカットが良いですね。
上では「迷いの影無し」とか書いちゃってますが、
寧ろ迷いを断ち切るような眼差しと言うべきかもしれません。
実に微妙な表情で深みがあります。
それにしても、これはセルピコにも言えることですが、
ファルネーゼって今後何処を目指すんでしょうかねえ。
魔道の探究って柄でもないですし……。
うーむ、旅が終わるまで目が離せませんなあ。

それにしてもこれにて妖虎編は一件落着、ですかね?
次回はオーウェン卿との絡みやら、
エルフヘルムへの船出までのあれこれが描かれるんでしょうか。
……って、グリフィスは何やってんだ?

posted by 仙道勇人 at 12:26 | Comment(4) | TrackBack(1) | ベルセルク
この記事へのコメント
仙道勇人さん、こんにちは〜。
茨の蛇は色々役に立ちそうです。
合体技というのは面白いですね。

ラストのファルネーゼのカット、本当に良いですよね。
様々な感情が入り交じりながらも、やっと自分の道を見つける事ができたという決意の表情。
読んでいて、こちらも込み上げて来るものがありました。
Posted by GAKUSHI at 2005年08月31日 20:49
GAKUSHIさん、いらっしゃませぇ〜。
"茨の「大蛇」"は、相変わらずの深読みのしすぎですかねえ。でも、壁になったり、盾になったりはしそうな感じですよね。
ラストカットは、本当に良いですよね。
顔のアップって画力がモロに出ちゃうんで、好んで描く人は少ないと思うんですが、微妙な表情をきっちり描き分けているのは流石だと思いました。
Posted by 仙道 at 2005年09月01日 14:18
度々失礼致します。
顔のアップって好んで描く人は少ないんでしょうか?
私は結構好きです。
でも確かに上手く表情を描くのは苦手です〜。
表情の素晴らしさは、三浦氏の作品の魅力の1つですね。

ついでで、申し訳ございませんが、
BERSERK NOTEを移転致しましたので、お知らせに参りました。
新しいアドレスは
http://berserknote.site.tk/
になります。
どうか今後ともよろしくお願い致します〜。(泣)
Posted by GAKUSHI at 2005年09月02日 15:40
GAKUSHIさん、ようこそ!
顔のアップについては完全に私見です(笑)が、表情を描き分けるのは相当難しいんじゃないかなあ、と。

移転の件、了解しました。
リンクの修正しておきますね。
Posted by 仙道 at 2005年09月03日 00:23
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#261 - 錆びた鳥籠
Excerpt: 瞬く間に四頭の怪物を始末したガッツ。貴族らは賞賛の声を浴びせるが、妖虎はまだ残っている。イシドロも炸裂弾を手に貴族らを守り、パックはその隙に救助料をせしめようとする。
Weblog: BERSERK weBLog
Tracked: 2005-09-07 00:05
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