作品自体は随分前に試写で拝見していたのですが、
いろいろと忙しくてエントリーできずに公開日を過ぎてしまいました。。。
学校図書館司書の類子は、教師の能勢との不倫に溺れていた。ある日、能勢と立ち寄った小石川後楽園で、 中学時代の親友阿佐緒と偶然再会した類子は、それが縁で阿佐緒が結婚するという精神科医袴田との披露パーティに出席することになる。 そこで類子は、同じく中学時代のクラスメイト秋葉正巳に再会する。正巳は家業を継いで袴田邸の造園を手がけていたのだ。以降、 三人は旧交を温めるように頻繁に会うようになる。高校時代に遭った交通事故の後遺症で性的不能者になっていた正巳は、 阿佐緒に対する性的な憧れを口にする一方で、類子に惹かれていくのを止められない。そしてある晩、ついに正巳は類子を抱きしめるのだった…… 。
類い希な美貌を持ちながら、
一生女と肉体的に交わることの出来ない青年に対する
精神的な官能を描いたこの作品は、
小池真理子の同名原作小説を映画化したもので、
資料によると小池真理子が涙を流して絶賛したとか。
まぁ、原作者による絶賛の声なんてのは、
いわゆるリップサービスとしてありがちみたいなところがありますが、
これは強ちサービスでもないような感じがしますね。
と言うのも、この作品はかなりの部分
原作に忠実に映画化しているという印象を与えられたからなんですな。
特に台詞まわりは、ほぼ原作テキストをそのまま使っているんじゃ?
や、恥ずかしながら原作は未読なので断定は出来ないんですけども。
ただ、作品の基幹となる「三島由紀夫の世界」を
きっちり押さえた上での映像化となっているので、
原作者ならこれは相当嬉しいんじゃないかな、という気がしたのですわ。
何せ自分の書いたテキストが、人物が生身の肉体をもって
語り、嘆き、食い、セックスをしている様子を見せてくれたわけですから。
ただ、それが「映画」として成功しているかと言うと、
これは否というしかないんですよね。特に顕著なのがやはり台詞。
まぁ、要するに人物の言葉遣いが妙に思弁的で文語的なので、
非常にギスギスした、不自然で生硬な印象を与える対話になってるんですね。
主要な人物がみんなそういう話しぶりで物語が進行していくので、
観念ばかりが浮き上がった、
生身のリアリティの欠落した造形になってしまってるんです。
はっきり言って、これは映画としては明らかに失敗で、
同じ物語を描くにしても小説と映画とでは、
そのドラマトゥルギーが根本的なところで全く異なるものである
ということを証明しているような作品になってしまってるんですなぁ。
多分、文字で書かれた台詞を読む分にはそれ程違和感はないと思うんですが、
それを役者が語り出した瞬間に強烈な違和感を与えるものになってしまうという……。
でもだからと言って、本作が煮ても焼いても食えないような愚作か
というとそれはまた違うんですな。
まず一つは、やはりあからさまに三島由紀夫自身をモデルにしたと思われる、
秋葉正巳という存在と物語全体にちりばめられた三島に対するオマージュが
一応きちんと噛み合ってるんですね。
まぁ、最後はちょっと疑問を感じるところもないではないんですが、
総じて上手く処理してある。
次に面白いのが高岡早紀の昼メロチックなホラー感バリバリの存在感(笑)。
ハッと気がついたら後ろに立っていた、なんていうシークエンスは
あからさまに昼メロチックで面白いったらないんですわ。
や、役どころは結構悲痛で哀れな女で、
演技そのものはかなり酷いんですけども。
でもそんなことよりも何よりも、
本作の最大の収穫はなんと言っても
女優・板谷由夏の発見にありますね、やっぱり。
板谷由夏というと、近作では「運命じゃない人」で
不二子ちゃん的小悪魔女を飄々と演じていて記憶に新しいんですが、
本作の彼女は本当に素晴らしい。
正直、彼女の存在一つで本作を映画たらしめた、
と言えるくらい。
大胆な濡れ場が話題になってますが、
それだけに限らず全編を通じて彼女の肉体が
このどうしょうもなく観念臭のキツい脚本に
肉体的な生々しさを与えたと言っていいでしょう。
上で「生身のリアリティの欠落した造形になってしまってる」と書いたように、
他の人物とは決定的に違うものが濃密に匂い立っているんですわ
ここまで確かな存在感を発揮する女優って、
最近ではちょっと記憶になくて、
彼女無しではこの作品は成立し得ないといった感じなんですわ。
とにかく凄い。奔放で激しい性愛場面なんかも勿論ですが、
それ以外の日常的な、スタティックな場面で
ふと滲ませてみせる情感なんかは、
これぞ「女」だといった気迫というか迫力というか、
そういった根源的な部分を体現しているような確かな存在感が
画面からひしひしと伝わってくるんですよね。
物語云々より、スクリーンの彼女に本当に釘付けにさせられてしまいました。
まだまだ知名度の高い女優とは言えませんが、
この人の動向は今後も目が離せないですわ。
板谷由夏。今後の邦画に於いて
絶対に忘れてはならない人なりますぜ。
その彼女の姿を拝む為だけでも、本作は観る価値があると断言しますわ。
うーむ、ちょっと惚れてしまいましたね。
それにしても不能者であることを暗示しているのか
正巳の腰というか尻にタトゥーがあって、
それがものすっごい気になったんですが、原作にあるんですかねぇ。。。
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欲望 2005 日本
監督:篠原哲雄
原作:小池真理子
脚本:大森寿美男 川崎いづみ
出演:板谷由夏 村上淳 高岡早紀 利重剛
大森南朋 中村方隆 内田春菊 水木薫
筒井康隆 中村久美 吉田日出子 津川雅彦 他
http://www.yokubo.jp/
アミューズCQN他にて公開中

私もお尻の上のタトゥが非常に気になりました。
マサミはそういうキャラじゃないよー、
それは村上淳の裸でしょう!って思いました。
村上淳の演技はすごくよかったけれどキャスティング自体は疑問でした。
わたしは、好きだからいいんですが。
>かえるさん
今回は高岡早紀だったのも昼メロ的な雰囲気を強くした要因かもしれないですね(苦笑)。
タトゥはやはり気になりましたよね。
>名無しさん
あー、あれは自前なんですか。
であれば塗り潰すとかなんか方法はなかったんですかねえ……。
ちなみに健康体の村上淳を起用したのは、ボディビルにはまっていた晩年の三島由紀夫を念頭に置いているものと思われます。
やはり原作を飲んでいないと堪能できない映画なのでしょうか・・・。
原作、読んでなくてもそこそこ楽しめると思いますよ。
ただ、この作品は三島由紀夫(作品だけでなく人間像そのもの)をフィーチャーしてる作品で、それもあってか些か詰め込みすぎな嫌いがあるんですね。
描写が舌足らずと言いますか。
なので、本当の意味で堪能するには原作(とできたら三島の諸作)を読んでいた方がより楽しめるのは間違いないです。
でも、微妙にB級っぽい演出が散見されるので、
そこら辺を中心に突っ込むのも面白いですよ(笑)。
腰が痛いのは辛いものです。
私も14年間悩まされました。
私が考案した腰痛解消法をお試しください。
【3分腰痛解消法】で、検索すると見つかります。
腰をお大事に。