2005年12月28日

「秘密のかけら」を観る

12/23にメルマガ第107号配信してました。お題は「秘密のかけら」です。

う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅ、寒いですね。
年も押し迫ってまいりますと、仕事の他にやることが色々とあって何かと大変です。
指先がかじかんで思うようにキーが打てないなど、身も心も冷えまくりでございます。
そんな私の手元には焼酎のお湯割りという心強い友がっ!
薄ーーーーーいアルコールとお湯のダブル効果でポッカポカですわい。

さて、そんな与太話は置いときまして、「秘密のかけら」です。
この作品は、「スウィートヒアアフター」のアトム・エゴヤンの新作で、
1972年のアメリカはロサンジェルスを舞台に
15年前にあった人気芸人コンビの突然のコンビ解消の裏に隠された「秘密」に、
ジャーナリスト・カレン(アリソン・ローマン)が迫っていくというお話でして、
基本はミステリーです、一応。
なんで「一応」なのかと言えば、ミステリー要素が強い作品ながら、
ミステリーの王道である「犯人捜し」がメインになっていないんです。
ついでに言うといわゆる「トリック」の謎解きもメインになってません。
ですが、「犯人捜し」や「トリック」に関する言及で、
展開自体は極めてミステリアスとゆーね。

もう本当に見応えのある作品で、
主演のアリソン・ローマン、ケヴィン・ベーコン、コリン・ファースの三人が素晴らしいのです。
特にケヴィン・ベーコン!
本作でもプリンプリンなケツを披露していますが、
そのあられもない後ろ姿に
なんつうかハッスルしすぎだろ、ケヴィィィィィン!! と思わず失笑。
いや、そのシーン以外ではしっかり丁寧に演じているのですが。
特にラストで見せるケヴィンの表情が、堪らなく切ないのですよ。

なぜ二人は「秘密」にしてこなければならなかったのか。
なぜ二人は「秘密」にすることを選んだのか。
解き明かされる「真実」によって、
「真実」というものの意味と価値を改めて考えさせられるはず。
とにかく観終わった後、こんなに切ない気持ちを味あわされたのは久しぶりですわ。
このお正月、切ない映画を観たければこれを観よっ!と断言しましょう。

まぁ、某王猿も切ないお話ではありましたが、
切なさではこちらの方が上ですからっ!(個人的好み爆裂)
1950年代当時のショウビジネス界の裏側の人間模様に、
人間の業としか言いようのない骨太なドラマを埋め込んでるんで、
ある意味で、大人の映画、と言えるかもしれません。
観終わった後に、あれこれと考えずにはいられなくなる、
そしてそれを誰かと話し合いたくなること請け合いです。
やっぱり、アトム・エゴヤンは良い監督だなあ。
惚れ直しましたぜ。

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秘密のかけら 2005年 カナダ・イギリス・ アメリカ
監督・脚本:アトム・エゴヤン
出演:ケヴィン・ベーコン,コリン・ファース,アリソン・ローマン,
    レイチェル・ブランチャード,デヴィッド・ヘイマン,モーリー・チェイキン,
    キルスティン・アダムス,ソニヤ・ベネット他

  http://www.himitsu-kakera.jp/

posted by 仙道勇人 at 00:13 | Comment(11) | TrackBack(16) | 試写報告

2005年12月19日

「ロード・オブ・ウォー」を観る

12/16にメルマガ第106号配信してました。お題は「ロード・オブ・ウォー」です。

本作は、ソ連崩壊の混乱に乗じて巨万の富を築き上げた
武器商人の半生を描いた作品。
監督・脚本のアンドリュー・ニコルが
「映画の出来事のほとんどすべてに実例がある」と言うだけあって、
武器取引の実態描写などのリアリティはかなりのもの。
そうした武器取引の実態と共に私生活を併せて描くことで、
家庭人としての面から「武器商人の立場」にアプローチをしていて
作品に厚みが出てます。

硬く重苦しいテーマを扱っている本作ですが、
特筆すべきは随所にちりばめられたブラックユーモアと皮肉。
取引現場で、商品の銃を突然発砲されて「なにすんだ!!!」と絶叫したかと思ったら、
相手から銃を引ったくってハンケチで拭き拭き
「一度撃ったらタダの中古やんけ」と言い切ったり、
「商品」発送後に停戦と聞いて「ちゃんと戦争しろや、ゴルァ」
とクレームを入れるクールな対応がなんだか妙におかしい。
や、実際は笑ってられんのですけどね。

この怪人物をニコラス・ケイジが熱演。つか、ハマりすぎですな、彼は。
なんだかちょっと見ないうちに髪の毛がフッサフッサになっている
ような気がしなくもないですが……。

見所は結構あるんですが、
中でも銃弾が製造されて「役を果たす」までの一連の過程を描いた冒頭シーンは必見。
顔しかめること請け合いの後味の悪さが凄いですわ。

一応、「センセーショナル・アクション・エンターテインメント」(な、長い……)と銘打たれている本作ですが、 やはり戦争とか武器取引の裏側とかに興味のない人にはちょっとしんどい内容かもしれません。
でも、こういう映画もたまには観てみてもいいんじゃないでしょうか。

なお、「INTROでも スーツ姿の死神はかく語りき」と題して、別の角度から本作のレビューを書いてます。ぜひ、 読んでやってください!

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ロード・オブ・ウォー  2005年 アメリカ
製作・脚本・監督:アンドリュー・ニコル
出演:ニコラス・ケイジ イーサン・ホーク ジャレッド・レト
    ブリジット・モイナハン イアン・ホルム 他
http://www.lord-of-war.jp/

posted by 仙道勇人 at 16:08 | Comment(5) | TrackBack(46) | 試写報告

2005年12月03日

「ノエル」を観る

メルマガ第104号配信しました。お題は「ノエル」です。

先日開かれた第18回東京国際映画祭で
特別招待作品として公式参加した
この作品は、
NY版「ラブ・アクチュアリー」とでも言うべきクリスマス映画の小品。
クリスマスイブを寂しく過ごす7人の物語が微妙に交錯しながら、
「クリスマスの奇跡」を優しく描き上げてます。

プレゼント選びに頭を悩ましているようなラブラブカップルよりも、
一人で寂しいクリスマスを迎える人にそっと寄り添うような作品ですね。
多分、劇場はカップルで溢れることになるんで、
独り者にはクリスマスシーズンに映画館なんて鬼門も鬼門、
酒でもかっくらってさっさと寝るに限るわっ!
なんて考えがちかもしれまへんが、
ここは勇気を出して一人で観に行って欲しいですね。
イブに喧嘩しちゃったカップルの話(ペネロペ・クルス×ポール・ウォーカ)
なんかもあるんで、カップルでも楽しめますが、
独り者の方が登場人物一人一人に共感できるんじゃあないかと思います。

それにしても名作「素晴らしき哉、人生」を引くまでもなく、
アメリカ人ってクリスマス映画が本当に大好きですよね。
神の顕現としての「奇跡」を語っているようでいて、
その実、それに仮託して普段見失いがちなものを描いて、
その大切さを自然に思い出させてくれるからでしょうか。
本作も「奇跡」がベースにあるんで、
いろいろと都合のいい展開もありますが、
クリスマス映画ですから大目に見た方が有意義です。

ちなみに、本作には某有名俳優がノンクレジットで出演しています。
顔を見れば「あぁ、あの人だ!」とすぐに分かるくらい超有名なこの人。
主演のスーザン・サランドンと共に作品を締めていますよ。
それにしてもペネロペちゃんは色っぺーですな。
黒い下着姿で踊りながら恋人を誘うシーンのチラリズムに(;´Д`)ハァハァ
こちらも要チェックです!

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ノエル 2004年 アメリカ
監督:チャズ・パルミンテリ
脚本:デヴィッド・ハバード
出演:スーザン・サランドン、ペネロペ・クルス、ポール・ウォーカー、アラン・アーキン、
    マーカス・トーマス、ダニエル・サニャータ 他
http://www.noel-movie.jp/
12/10より、 東劇他ロードショー

posted by 仙道勇人 at 09:42 | Comment(3) | TrackBack(26) | 試写報告

2005年11月24日

「欲望」を観る

作品自体は随分前に試写で拝見していたのですが、
いろいろと忙しくてエントリーできずに公開日を過ぎてしまいました。。。

学校図書館司書の類子は、教師の能勢との不倫に溺れていた。ある日、能勢と立ち寄った小石川後楽園で、 中学時代の親友阿佐緒と偶然再会した類子は、それが縁で阿佐緒が結婚するという精神科医袴田との披露パーティに出席することになる。 そこで類子は、同じく中学時代のクラスメイト秋葉正巳に再会する。正巳は家業を継いで袴田邸の造園を手がけていたのだ。以降、 三人は旧交を温めるように頻繁に会うようになる。高校時代に遭った交通事故の後遺症で性的不能者になっていた正巳は、 阿佐緒に対する性的な憧れを口にする一方で、類子に惹かれていくのを止められない。そしてある晩、ついに正巳は類子を抱きしめるのだった…… 。

類い希な美貌を持ちながら、
一生女と肉体的に交わることの出来ない青年に対する
精神的な官能を描いたこの作品は、
小池真理子の同名原作小説を映画化したもので、
資料によると小池真理子が涙を流して絶賛したとか。
まぁ、原作者による絶賛の声なんてのは、
いわゆるリップサービスとしてありがちみたいなところがありますが、
これは強ちサービスでもないような感じがしますね。

と言うのも、この作品はかなりの部分
原作に忠実に映画化しているという印象を与えられたからなんですな。
特に台詞まわりは、ほぼ原作テキストをそのまま使っているんじゃ?
や、恥ずかしながら原作は未読なので断定は出来ないんですけども。
ただ、作品の基幹となる「三島由紀夫の世界」を
きっちり押さえた上での映像化となっているので、
原作者ならこれは相当嬉しいんじゃないかな、という気がしたのですわ。
何せ自分の書いたテキストが、人物が生身の肉体をもって
語り、嘆き、食い、セックスをしている様子を見せてくれたわけですから。

ただ、それが「映画」として成功しているかと言うと、
これは否というしかないんですよね。特に顕著なのがやはり台詞。
まぁ、要するに人物の言葉遣いが妙に思弁的で文語的なので、
非常にギスギスした、不自然で生硬な印象を与える対話になってるんですね。
主要な人物がみんなそういう話しぶりで物語が進行していくので、
観念ばかりが浮き上がった、
生身のリアリティの欠落した造形になってしまってるんです。

はっきり言って、これは映画としては明らかに失敗で、
同じ物語を描くにしても小説と映画とでは、
そのドラマトゥルギーが根本的なところで全く異なるものである
ということを証明しているような作品になってしまってるんですなぁ。
多分、文字で書かれた台詞を読む分にはそれ程違和感はないと思うんですが、
それを役者が語り出した瞬間に強烈な違和感を与えるものになってしまうという……。

でもだからと言って、本作が煮ても焼いても食えないような愚作か
というとそれはまた違うんですな。
まず一つは、やはりあからさまに三島由紀夫自身をモデルにしたと思われる、
秋葉正巳という存在と物語全体にちりばめられた三島に対するオマージュが
一応きちんと噛み合ってるんですね。
まぁ、最後はちょっと疑問を感じるところもないではないんですが、
総じて上手く処理してある。

次に面白いのが高岡早紀の昼メロチックなホラー感バリバリの存在感(笑)。
ハッと気がついたら後ろに立っていた、なんていうシークエンスは
あからさまに昼メロチックで面白いったらないんですわ。
や、役どころは結構悲痛で哀れな女で、
演技そのものはかなり酷いんですけども。

でもそんなことよりも何よりも、
本作の最大の収穫はなんと言っても

女優・板谷由夏の発見にありますね、やっぱり。

板谷由夏というと、近作では「運命じゃない人」で
不二子ちゃん的小悪魔女を飄々と演じていて記憶に新しいんですが、
本作の彼女は本当に素晴らしい。
正直、彼女の存在一つで本作を映画たらしめた、 と言えるくらい。
大胆な濡れ場が話題になってますが、
それだけに限らず全編を通じて彼女の肉体が
このどうしょうもなく観念臭のキツい脚本に
肉体的な生々しさを与えたと言っていいでしょう。
上で「生身のリアリティの欠落した造形になってしまってる」と書いたように、
他の人物とは決定的に違うものが濃密に匂い立っているんですわ
ここまで確かな存在感を発揮する女優って、
最近ではちょっと記憶になくて、
彼女無しではこの作品は成立し得ないといった感じなんですわ。
とにかく凄い。奔放で激しい性愛場面なんかも勿論ですが、
それ以外の日常的な、スタティックな場面で
ふと滲ませてみせる情感なんかは、
これぞ「女」だといった気迫というか迫力というか、
そういった根源的な部分を体現しているような確かな存在感が
画面からひしひしと伝わってくるんですよね。
物語云々より、スクリーンの彼女に本当に釘付けにさせられてしまいました。
まだまだ知名度の高い女優とは言えませんが、
この人の動向は今後も目が離せないですわ。

板谷由夏。今後の邦画に於いて
絶対に忘れてはならない人なりますぜ。
その彼女の姿を拝む為だけでも、本作は観る価値があると断言しますわ。
うーむ、ちょっと惚れてしまいましたね。

それにしても不能者であることを暗示しているのか
正巳の腰というか尻にタトゥーがあって、
それがものすっごい気になったんですが、原作にあるんですかねぇ。。。

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欲望 2005 日本
監督:篠原哲雄
原作:小池真理子
脚本:大森寿美男 川崎いづみ
出演:板谷由夏 村上淳 高岡早紀 利重剛
    大森南朋 中村方隆 内田春菊 水木薫
    筒井康隆 中村久美 吉田日出子 津川雅彦 他
http://www.yokubo.jp/
アミューズCQN他にて公開中

 

posted by 仙道勇人 at 02:33 | Comment(10) | TrackBack(11) | 試写報告

2005年11月19日

「ミート・ザ・ペアレンツ2」とその他いろいろご連絡

すっかり放置気味でどうもすみません。
諸々お知らせでございます〜〜。

明日のためのその1。
メルマガ配信しました。
今回のお題は「ミート・ザ・ペアレンツ2」。
疲れた脳味噌には本作のおバカワールドが心地好く、
なかなか楽しませていただきました。
前作から引き続き、
ロバート・デ・ニーロの超偏屈ぶりと元CIAという過激な側面が愉快なんですが、
今回はこのデ・ニーロが初孫にメロメロになっているということで、
爺馬鹿ぶりを炸裂させてて笑えます。
本作では、新キャラでダスティン・ホフマンが参戦。
ファンキーパパをのびのびと演じて
こちらもデ・ニーロに負けないくらい笑かしてくれます。
まぁ、デ・ニーロにしろ、ダスティン・ホフマンにしろ、
よもやこんなおバカな作品で共演することになるとは
想像だにしなかったことでしょう……。
ハリウッド一の困り顔、ベン・スティラーは、今回はかなり控え目。
それでもやっぱり基本はデ・ニーロVSベン・スティラーではありますが、
やはり彼の両親役である
ダスティン・ホフマンとバーブラ・ストライサンドのキャラが立ちすぎてて、
ベン・スティラーの存在がすっかり霞んでしまった感がありますな。
ま、全体的に笑える作品になっているので、気晴らしにはもってこいと言えましょう。

ミート・ザ・ペアレンツ2 2004年 アメリカ
監督・製作:ジェイ・ローチ
脚本:ジョン・ハンバーグ ジェームズ・ハーツフェルド
出演:ベン・スティラー ロバート・デ・ニーロ ダスティン・ホフマン
    バーブラ・ストライサンド ブライス・ダナー テリー・ポロ 他
  
http://mtp2.com/
11月26日より、VIRGIN TOHO CINEMAS六本木ヒルズ他にて公開

 

明日のためのその2。
INTROの方で、田尻 裕司監督インタビューの第一弾が掲載されてます。
田尻 裕司 監督は、ピンク映画でその人ありと言われる実力派。
ピンク映画と聞いてちょっと引いたあなた、ピンク映画を馬鹿にしちゃいけません。
シビアな撮影条件が要求されるピンク映画は、
日本映画の裾野を支える存在の一つなんですから。
この業界から明日の邦画界を背負って立つ才能が
いつ現れてもおかしくないわけですよ。
田尻監督はその筆頭的な存在と言えましょう。
お話を脇で伺っていたんですが、
刺激的な言葉がぽんぽん出てきて思わず聞き入ってしまいました。
(写真撮れっちゅー話なんですが、汗)
今回は第一弾として、田尻監督が初挑戦した
ホラー映画「孕み〜白い恐怖」について語っていただいております。

『孕み〜白い恐怖』 
監督:田尻裕司
脚本:佐藤有記
出演:前田亜季 矢口壹琅 高瀬アラタ 中山玲
   磯貝誠 はやしだみき 今井悠貴 絵沢萠子
公式:http://www.harami.jp/
渋谷シネ・ラ・ セットで11/19(土)〜12/9(金)にて、連日21:30よりレイトショー公開

 

明日のためにその3。
ベルレビューも気がついたら二話分溜まってますね(汗)。
一応、どっちもあらかた書けているんですが、
アップする時間がなかなか取れません。
覗きに来てくれている方、本当にごめんなさい。
もう少しお待ち下さいねー。
あと、今後の予定としてはベルセルクのコンテンツを独立させようかと思っています。
その時はまたご報告させていただきまする。

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posted by 仙道勇人 at 21:45 | Comment(2) | TrackBack(5) | 試写報告

2005年10月14日

「ドア・イン・ザ・フロア」を観る

うーあー、またまた更新に間が空いちゃってすみません。

さて、本作「ドア・イン・ザ・フロア」は、
J・アーヴィングの原作小説「未亡人の一年」を
アカデミー女優の美熟女キム・ベイシンガーと
アカデミーに4度のノミネートという実績を誇る燻し銀ジェフ・ブリッジス
の競演で映画化した作品。

あらすじ
著名な児童文学作家テッド(ジェフ・ブリッジス)と妻のマリアン(キム・ベイシンガー)は、 一人娘のルースと共に裕福な生活を送っていたが、ある事情から海辺の自宅と町の書室を一日おきで寝泊りするという奇妙な別居生活を始める。
ある夏、ある目的のために、作家志望の高校生エディを住み込みの助手として雇ったテッドは、創作活動よりも浮気に精を出す。 そんな彼の傍で過ごすエディは、ルースと親しくなる一方で、悲しげな雰囲気を湛えたマリアンに次第に惹かれていく…。

と言うわけで、本作の売りは
キム・ベイシンガーとジェフ・ブリッジスによる
「大人の男と女」の愛と絆を描いたと言うことなんですが……。
まぁ、確かにそういう面も含まれているんで、
それが「嘘」だとは言いませんが、
必ずしもそれが主軸として描かれているわけではないんですよね。
夫婦の問題や家族の問題も当然描かれているんですが、
寧ろ主軸として描かれるのはエディとマリアンの関係なんですよ。
ぶっちゃけちゃうと、青年の性の目覚めですよ。
なので、「大人の男と女の愛と絆」というのを真っ正面から
描いたものを期待するとちょっと肩透かしを食らう可能性が大きいでしょう。

この様々な問題を孕んだ複雑な関係性を、
アーヴィングお得意のユーモアとシリアスが渾然一体となったスタイルを
忠実に再現しながら描こうというトッド・ウィリアムズ監督の意図は、
まぁ、わからなくはないんですが、一言で言うとチグハグなんですよね。
役者・映像は良いんですが、
どうにも編集と構成のバランスがかなり悪いのですな。
物語の根幹にあるもの自体は重たいものなんですが、
このチグハグな演出のせいで、話を落とし切れておらず、
ラストに響くものがないんですよ。
これなら、もっと素直に単純な青年の通過儀礼の物語として
割り切って組み直しちゃった方が良かったのでは?
「大人の男と女の愛と絆」も「青年の成長物語」としても、
中途半端でグダグダになってしまってますな。

本作にはあのダコタ・ファニングの実妹エル・ファニングが
出演しているんですが、これが姉にクリソツ!!
ビキニ姿ではしゃぐ姿とか裸にシーツ一枚とか
ロリには悶絶モノのシーンがなぜかてんこ盛りで、
そっち方面では余りにも危険な作品と言えましょう。
叫び方なんかもそっくりなんで、
きっとこの子も姉同様、天才子役の名を欲しいままにするでしょうね。
今後の成長が楽しみです。(あ、もちろん役者としてですから!)

この作品は次回のメルマガでもうちょっと突っ込んだレビューを書きます。

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ドア・イン・ザ・フロア 2004年 アメリカ
監督・脚本:トッド・ウィリアムス
出演:キム・ベイシンガー ジェフ・ブリッジス
     エル・ファニング ジョン・フォスター 他

http://www.herald.co.jp/official/door/index.shtml
10月22日(土) より 恵比寿ガーデンシネマほか全国ロードショー

posted by 仙道勇人 at 00:25 | Comment(2) | TrackBack(13) | 試写報告

2005年10月02日

「トンケの蒼い空」を観る

――前々回、夜にでもと書いておいて、気がついたら5日も過ぎてますたよorz

さて、気を取り直して「トンケの蒼い空」。
こちらは、もうじき公開される「私の頭の中の消しゴム」 のチョン・ウソン主演作。
ただ、現地での公開時期はこちらの作品の方が古く、2003年度の作品なんですね。
この点を踏まえると、「私の頭の中の消しゴム」の前半で見られた
「がさつでぶっきらぼうな大工」というキャラの前身と言えましょう。

と言うのも、本作でチョン・ウソンが演じるトンケ(=野良犬/あだ名)青年は、
そのあだ名が示すように、将来の夢もなくふらふらしているちょいダメ兄ちゃん。

この作品の舞台となっているのは、韓国でもかなりの地方都市
いわゆる「ド田舎」ってところなんでしょう。
ほんのりと今風にニート臭?を漂わせたりなんかしているトンケを、
チョン・ウソンはもの凄い訛りで
殆ど現地の兄ちゃんなんじゃないかと見紛うほどの熱演ぶり。
韓国語の訛りのことなんぞ知りませんが、
そのしゃべり方から立ち居振る舞いに至るまで、
いかにも泥臭ーいカッペ臭を発散させていて、
あの「ワイルドハンサム・ガイ」がっ!
と「私の頭の中の消しゴム」を観たばかりの者には喫驚必至。
で、お話はと言いますと――

あらすじ(資料より)
高校を中退してから、 孤独で無為な日々を送っているトンケ(チョン・ウソン)。
そんな彼も仲間ができて仕事に就き、父との二人暮らしに少女が加わることで、
彼の人生にも光が射し込み始めた。しかし、その先に待ち受けていたのは、
彼の大切なものを脅かす事件や人々だった……。

――と、まぁ、こんな感じ。
このトンケ、高校を中退する原因となるのが
なんと、兄弟のように育った愛犬「トンケ」を先輩に喰われてしまったこと。
そら引き篭もりでもニートにでもなるっつーの。

それにしても、韓国料理には犬のスープがあるのはつとに知られていますが、
それをこういう形で見せてしまうというのは、ある意味もの凄い画期的。
でも、それもそのはず。
本作は「青春映画」の体裁を取っているんですが、
その実態は社会的なジレンマを露悪的に描いたコメディなんですから。
父子の微妙な関係を軸に、ドタバタとまではいかないにしても、
ギャグのような掛け合いが随所にちりばめられた本作は、
明らかに韓国版のシチュエーションコメディ(シット・コム)ですね。
もうほんとにバカバカしいネタから、感動モノのネタ、
大立ち回りに至るまで盛り沢山の幕の内弁当状態で、
それらをチョン・ウソンがまさしく身体を張っての(観ればわかりますが、比喩じゃないッス)、
時には洟ダラダラ垂らしての体当たり演技を披露しとります。

日常の延長としての青春の風景/気配(かなりデフォルメされてますけど)をちりばめつつ
テンポ良く進行していくので、肩を張らずに楽しめる作品なんですが、
片田舎の青年の青春をテーマにしているとはいえ、
ありがちな「成長物語」ではないんで
そっち方向を期待して観に行くと物足りなさを感じてしまうかも。

いずれにせよ、出演当時30歳のチョン・ウソンが、
18〜9歳の青少年役というのは演技云々以上に
見た目にちょーーーーっと無理がありますけどねw

トンケの蒼い空 2003年 韓国
監督・脚本:クァク・キョンテク
出演:チョン・ウソン キム・ガプス オム・ジウォン キム・テウク
    ヤン・ジュンギョン イ・サンフン ソン・サンギョン 他
http://www.tonke.jp/

11月よりK’sシネマ他全国順次公開予定

次回はジョン・アーヴィング原作の話題作「ドア・イン・ザ・フロア」」の予定。
近日更新しますのでしばしお待ちを。
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posted by 仙道勇人 at 23:48 | Comment(7) | TrackBack(9) | 試写報告

2005年09月27日

「狼少女」を観る

えー、昨日は元々映画美学校での試写にいく予定だったのですが、
その前に銀座でも別作品の試写があったので、タイミング的に二連チャン強行。
一睡もしないという最悪のコンデションだったんですが、
行きの電車で30分ほど瞑目し続けていたのが奏功したのか、
試写鑑賞には影響無しだったのは意外な発見でした。
疲れ目も治まっていたし、瞑目効果はかなり高いようですな。

で、試写なんですが、一本目は銀座で「狼少女」。
こちらは10/22から開催される
第18回東京国際映画祭、「日本映画・ ある視点」部門上映作。
「昭和」のある地方都市の小学生の出会いと別れを描いた作品で、
不思議大好き少年明を主人公に、
明のクラスに転校してきた都会のお嬢様・留美子、
明のクラスメイトで家が貧しくクラス中から嫌われている秀子、
この三人がひょんなことから次第に友情を育んでいく姿を描いとります。

あらすじ(資料より)
主人公の大田明は小学4 年生。美少女の転校生の手塚留美子や、
クラスのいじめられっ子の小室秀子と、ふとしたことから仲良くなっていく。
そんな彼が最も興味を持っているのが、街に巡回興行でやってきた見世物小屋。
学校からも親からも「危ないから近づかないこと」と言われるほど、
見たい気持ちは高まるばかり。そんなある日、演し物のひとつ「狼少女」の正体が、
秀子だという噂が流れ始める・・・

昭和という時代を舞台にしているものの
「昭和のいつ」なのかが判然としないなど気になる点は少なくないんですが、
映像には確かに「昭和」の雰囲気が色濃く湛えられてますね。
昭和という漠然とした時代を背景にしたドラえもん的な世界とでも言いますか。
登場するちびっ子達がいかにも「あの時代の子供」っぽくてイイ。
半ズボンに秘密基地、グリコじゃんけん、
そして穴掘り(←確かに意味不明に穴掘りに熱中していた時期があった気がするw)
特にガキ大将という存在の微笑ましさと言ったらないですな(笑)。

割と穴のある脚本ではありますが、
この脚本は前述のガキ大将を筆頭に、
ガキ大将に媚びる金魚の糞、家が貧しいという理由で嫌われる女子、
成績優秀でかわいい都会からの転校生といった
当時を偲ばせるクリシェで徹底的に劇を構成しているのがキモ。
貧しさを理由にした排除(=イジメ)なんて余りにも典型的すぎる構図なんですが、
それすらも溢れかえる昭和的クリシェの一部として実に自然に描かれてます。
特にクリシェを単純にちりばめるだけで終わらせず、
それを上手く利用して劇的転換に結びつけている点はなかなか効果的。
子供らしい残酷さと素直さを上手く掬い取れてると思う。

作品が醸す時代の空気を共有できないと話にならないみたいなところがあって
基本的には若い人向けの作品ではないですが、
一定の年代以上の人には身に覚えのある光景がバンバン出てくるんで、
懐かしい気持ちがこみあげてくるんじゃないでしょうかね。
ちなみに筆者なんぞは、懐かしさ以上に
ある種の罪悪感がこみあげてきてしまって些か弱りましたorz
子供時代のある明瞭な記憶を喚起されてしまう人も相当いるんじゃないですか、これ。

狼少女 2005年 日本
監督:深川栄洋
原案・脚本:大見全 脚本:小川智子
出演:鈴木達也 大野真緒 増田怜奈 大塚寧々 利重剛
    手塚理美 馬渕英里何 なぎら健壱 田口トモロヲ 西岡徳馬 他
http://www.eiga.com/official/ookami/ (公式ホームページ)

1/28(土)よりキネカ大森にてロードショー!
テアトル梅田ほか全国順次上映!

二本目は「私の頭の中の消しゴム」のチョン・ウソン主演の「トンケの蒼い空」。
今夜にでもアップしますのでしばしお待ちを。
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posted by 仙道勇人 at 11:33 | Comment(0) | TrackBack(9) | 試写報告

2005年09月21日

「シン・シティ」を観る

厚生年金会館までの道すがら雨に濡れたせいか、
ちょっと頭痛がする……酷くしないためにも寝ておきたいんだけれども、
どうにも眠れないので昨夜の試写の印象をダラダラと。

本作はロバート・ロドリゲスと原作者のフランク・ミラーによるコラボレーション。
一言で言うと、クール・スタイリッシュ・グロ(あ、一言じゃねーわ)。
全編CGで描き込まれた背景や
モノクロームの映像の中に部分的に浮き上がる原色と
とにかくスタイリッシュな映像が最高にイカしてる。
背景は原作のコミックから取り出してCG加工されてるらしいんだけど、
コミックの「映像化」という点では、これ以上はないんじゃないかというクオリティっす。
高所から飛び降りたりといった、
いかにも「漫画」なド派手アクションもダイナミックで観応えアリ。

ストーリーは犯罪と暴力が日常の暗黒街「シン・シティ」を舞台にした
三つの独立したエピソードが描かれてるんですが、
それぞれ微妙に異なる時間軸の物語で
最後のブルース・ウィルスのエピソードで前の二つのエピソードと
ちょっぴりクロスオーバーするシーンがあったり、
ギャグっぽい演出が随所に見られたりと遊び心も満点。

各エピソードの主人公は
ミッキー・ローク(一世を風靡した優男の面影無し!)、
クライヴ・オーウェン、そしてブルース・ウィリス。
どのエピソードも愛する女のために凄絶な戦いを繰り広げる男の物語で、
クールでタフなピカレスク・ロマンが爆発!
ただ、ミッキー・ロークとブルース・ウィリスのエピソードが
極めて明快な構図であるのに対して、
クライヴ・オーウェンのエピソードは
設定がちょっと複雑すぎて消化し切れていない感じ。

気になったのは各主人公の「語り」によって物語が進行している点と
バイオレンス描写がややグロすぎる点。
前者は多分原作をそのまま踏襲しているんだろうけど、やっぱりちょっと煩い。
後者はモノクロの映像でかなりアクを抜いてるとはいえ、
手首がぶっ飛んだり、頭が真っ二つになったりと、
かなりグログロな映像が当たり前のように挿入されてるんで
その手の映像が苦手な人は覚悟して観に行った方が無難かな。

なんでも続編と続々編の製作が決定してるらしいんだけど、
単純にキャラが変わるだけならあんまし面白味がないかなぁ、なんて思ったり。
ま、どういう続編が出てくるのかちょっと楽しみではありますな。
それにしても、ロアーク枢機卿としてルトガー・ハウアーが出演しとるんですが、
「ブレードランナー」の頃の面影が全くないじゃないの(涙)。
これじゃ、「バットマン・ビギンズ」に出てても気づかないわけだよ……。


INTROの方でもう少し突っ込んだ作品評を掲載しています。
シン・シティ評/「徹底した美意識が描き出すピカレスク・ファンタジー」


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シン・シティ 2005年 アメリカ
監督・脚本:ロバート・ロドリゲス&フランク・ミラー
特別監督:クエンティン・タランティーノ
原作:フランク・ミラー
出演:ブルース・ウィリス ミッキー・ローク クライヴ・オーウェン
    ジェシカ・アルバ ベニチオ・デル・トロ イライジャ・ウッド
    ジョシュ・ハートネット ブリタニー・マーフィ デヴォン青木
    ロザリオ・ドーソン ニック・スタール マイケル・クラーク・ダンカン
    ルトガー・ハウアー マイケル・マドセン ジェイミー・キング
    アレクシス・ブレデル 他
http://www.sincity.jp/

posted by 仙道勇人 at 05:48 | Comment(3) | TrackBack(26) | 試写報告

2005年09月15日

「私の頭の中の消しゴム」を観る

■「良質な」メロドラマなのです

 ベルセルクレビューばっかりで映画関連のエントリーのエントリーを
 すっかり書くのを忘れていた当ブログ。
 これじゃイカンと、メモ書き代わりに印象をザザザッと書くことにしますた。

 今夜行ってきたのは日本のドラマが原作の「私の頭の中の消しゴム」。
 緊急追加試写だったんですが、場所がななんと九・下会館!
 すんげーなあ臓臓と思って足を運んでみたら
 高校生の制服姿がチラホラリ。

 ん?マスコミ試写じゃなかったの?

 まぁ、いいんですけど。

 作品は、「若年性アルツハイマー」を題材に、
 男女が出会い、結婚し、幸せの絶頂の中で彼女に病気が発症して臓臓。
 というもの。

 画とか本当に丁寧に作り込んでるし、何より役者がいいっすね。
 チョン・ウソン、かっこいいね。
 ソフトマッチョな肉体美で、ソン・イェジンをひょいっと持ち上げて
 お姫様だっこ、お姫様だっこ、お姫様だっこ!
 いやー、ワイルドな感じで人気出るんだろうなあ。

 ヒロイン役は、17日からの「四月の雪」が公開待機中ののソン・イェジン。
 この人、表情の表現力が・晴らしいわ。
 画面に引き込むタイプの演技をするんで、「四月の雪」も楽しみだなあ。

 物語は、まぁ、誤解を恐れずに言えば「愛」というものの情感を
 巧みに掬い取っているだけなんで、メロドラマですわなあ。
 ただし良質の、ね。
 どうも「愛」というものに対する異化作用まで昇華し切れていないんですな。
 これ、チョン・ウソン側の愛とソン・イェジン側の愛、
 両方を同時に描こうとしたからなんですけど。
 どっちにも共感できるような作りなんで、
 感動の間口は広いと思うんですが、
 深みとか重みは臓臓正直感じられなかったかな。

 でもま、涙腺弱い人はやられちゃうでしょう、これは。
 正直、あるシーンではちょっぴりウルウルしちゃったもんなあ。
 ・直に泣きたい、感動したいという人にはお勧めかも。

 あぁ、そうそう。
 韓国のファミマが大活躍してて、色々な意味でちょっとワロタ。
 つうか、レジの人「また故障かよー」みたいなこと言ってたけど、あれはいいのか?!

私の頭の中の消しゴム 2004年 韓国
監督・脚本:イ・ジェハン
出演:チョン・ウソン ソン・イェジン ペク・チョンハク
    イ・ソンジン パク・サンギュ キム・ヒリョン 他

posted by 仙道勇人 at 23:47 | Comment(0) | TrackBack(33) | 試写報告

2005年06月02日

「ダニー・ザ・ドッグ」を観る

昨日のことになりますが、「ダニー・ザ・ドッグ」をアスミック試写室にて。

この作品は、「キス・オブ・ザ・ドラゴン」以来となる
リュック・ベッソン×ジェット・リーによるアクションドラマっす。
まぁ、「
クリムゾン・ リバー2」で散々な目に合わせてくれた
リュック・ベッソン脚本ということで、正直言って期待はしてませんでした。

がっ!

これがなかなかどうして楽しめる佳作にまとまっておりました。
リュック・ベッソンなので、例に漏れず突っ込みどころが満載なわけですが、
そういう細かいところに気を取られなければかなり満足出来る作品かと思われます。

今回、アクションの振り付けにユエン・ ウーピン(お馴染みっ!)が担当しているのですが、
この作品の彼はとてもイイ仕事をしています。
限定的でありながらも実に効果的なワイヤーアクションによって、
ジェット・リーの魅力が遺憾なく発揮されとります。
微妙にカンフーが混ざっているのはご愛敬ってことで、
ジェット・リーの狂犬のような無茶苦茶な戦い方が本当に圧倒的!
久々に彼のダイナミックなアクションに見惚れちまいましたです。

で、そのジェット・リーですが、今回彼は感情表現という新境地に挑戦していて、
まぁ、やはりまだまだぎこちないところはあるんですが、
そのぎこちなさが役柄とかぶってとてもイイ味を醸し出しています。
とにかく、「首輪」を嵌められた時の('A`)な状態と
「首輪」を外された瞬間に闘争本能が剥き出しになる状態のギャップが
とても巧みに使い分けられているのが実に効果的。
なだけに、「犬」として育てられた彼が、
少しずつ人間性を取り戻していく過程で見せる表情の一つ一つ
――笑ったり、照れたり、おどけたり――が胸を打たずにはおかないのですなあ。

最後に突き抜けるというエンディングではないので、
活劇的なカタルシスが得られないというのは好みの分かれる所でしょうが、
しみじみとしたラストが静かな感動、って言うか安心感を誘う作品でありました。

本作でジェット・リーは新境地を開拓したと言えると思うんですが、
それにしても東洋人が幼く見えるって言うのは本当ですな。
相手の少女は18歳という設定にもかかわらず、
ジェット・リーとのツーショットに何の違和感もないという……。
その年の割に子供っぽく見える風貌も、
この作品にはプラスに働いていたようです。

素晴らしいアクションと心振るわす感動、
確かに粗の多い脚本ではありますが、
今回はどっちもしっかり堪能できるんではないでしょうか。
とりあえず、出来るだけ大きなスクリーン+音響システムの良い劇場
で観ることをお薦めしたい作品です。

posted by 仙道勇人 at 23:04 | Comment(2) | TrackBack(10) | 試写報告

2005年05月31日

「電車男」を観る

有楽町よみうりホールで話題の『電車男』の試写を。

「電車男」のことは、書籍化以前にまとめサイトで知っていたんで、
それがそのまま書籍化されたということで勿論未読。
どんな感じに映画化されるんだろうとちょびっと興味あったんですが、
いやー、これがかなり面白い。
特に前半が素晴らしい出来映え。
スレの臨場感が巧みに映像化されていて、
思わず笑わされるシーンが随所にあって。
勿論電車男の戸惑いや不安もきっちり描出。

た だ し !

後半がダメ、全然なってない。
前半が余りにも良い出来だっただけに、
後半のグタグダが本当に惜しまれますな。
山田孝之のヲタク青年っぷりは必見でしょう。

とりあえず、この映画を観る前に電車男の一連のスレを保存した
まとめサイト 「男達が後ろから撃たれるスレ 衛生兵を呼べ」
を一通り読んでおくと、もの凄く楽しめるかと思われます。
このまとめサイトには「電車男」だけじゃなく、
毒男達のネタか本当かわからないような
嬉し恥ずかし話や切ない話が揃ってますんで、
「電車男」しか知らない人はかなり楽しめます。
とりあえずあなたが毒男なら、 嫉妬の絨毯爆撃に晒されるのは必至なんで、
衛生兵の手配をしてから読みに行くべし!

作品についてはINTROで詳しく取り上げる予定です。

posted by 仙道勇人 at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(2) | 試写報告

2005年05月12日

「魁!!クロマティ高校」を観る

昨日は映画美学校試写室にて「魁!!クロマティ高校/The Movie」を。

「魁!!クロマティ高校」(以下『クロ高』)と言えば、
池上遼一を彷彿させる劇画調のキャラクターが
ナンセンスでシュールなギャグを繰り広げる漫画でして、
連載当初はその余りにも違和感ありまくりな画風から、
すぐに打ちきりだろうなーこれ、と誰もが思ったであろうはずなのに、
気がついたらアニメ化とメディアミックスの王道を闊歩する異常事態に。
で、その大人気同名漫画が遂に映画化しちゃったものだから、さぁ大変。
「クロ高を実写化」と聞けば多くの人が

マヂっすか?! ありえねぇー(ププ

と思うのではないでしょうか。
んなことない?
まぁ、確かにアニメ化もされているんで
実写に出来ないことはないでしょうが、
やはりあの独特のテンポとリズムが醸し出す
笑いは実写じゃ厳しいんじゃないかと。
まぁ、そう思った次第で。

で、内容なんですが、いやー、これが
原作を忠実に映像化していてかなりビックリ。
あのキャラクターがそのままスクリーンに現れてました。
えぇ、フレディやらメカ沢君に至るまで
原作通りのイメージを殆ど壊すことなく実写化してるんで、
原作ファンならそれだけでお腹いっぱいになれるかもしれんです。
話の内容も主人公神山がクロ高に入学するところから、
原作の美味しい回を抽出・上手く再構成していて実に手堅くまとめてます。
オリジナルも入ってるんですが、あんまり違和感ないですし。
キャスティングも結構ツボ突いてますんで、
とりあえず、ファンの人は行っとけという感じの作品でありました。

あぁ、でも「『クロ高』?なにそれ??」という人は間違っても観ないように。
この作品は原作を愛する人向けの超マニアックな作品なので。


『魁!!クロマティ高校』 2005年 日本
原作:野中英次「魁!!クロマティ高校」(週刊少年マガジン連載中)
監督:山口雄大
構成:板尾創路
脚本:増本庄一郎
主題歌:「RUN☆BAKURATEN☆RUN」氣志團(東芝EMI)
出演:須賀貴匡 虎牙光揮 山本浩司 渡辺裕之 高山善廣 板尾創路
    金子昇 島根さだよし ロバート(秋山竜次 馬場裕之 山本博)
    増本庄一郎 遠藤憲一 高知東生 津田寛治 坂口拓 武田真治
    かないみか 小林清志 阿藤快 他
http://www.kurokou.com/
夏休み、シネセゾン渋谷、シネ・リーブル池袋他にてレイトロードショー


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posted by 仙道勇人 at 13:49 | Comment(2) | TrackBack(17) | 試写報告

2005年04月07日

「ベルリン、僕らの革命」を観る

しかし、すっかり桜が色づいてるんだなぁ。
確か昨日まではまだ殆どがつぼみだったはずなんだが……。
うーむ、早く撮りにいかないと散ってしまいそうだな……。
でもやること山積なんだよなー(涙)。
てなことを、京橋にあるメディアボックス試写室に向かう電車の中で思った昨日。
今日も昼にはすっかり暖かくなってるから、
うちの近所は桜色に染まってるんだろうな。

さて、昨日鑑賞した「ベルリン、僕らの革命」ですが、
これがなかなかよい出来映えの作品で、
青春のキラキラするようなまぶしさを放つ佳作に仕上がってました。

物語は、昼は学生だが、夜になると資産家の邸宅に忍び込んでは
住人の度肝を抜くような悪戯だけをして去っていく
「教育者(エデュケーターズ)」として暗躍するヤンとピーター。
それは金持ち優遇社会に対する、彼らなりのレジスタンスだった。
警察の捜査は難航しており、
万事が彼らの思惑通りに進んでいくように思われた。
が、ピーターの旅行中に、彼の恋人ユールが
アパートの立ち退きやバイトの不当解雇に直面、
落ち込む彼女を励ます為にヤンは自分達が
「エデュケーターズ」であることを打ち明けてしまう。
その事実を知ったユールは、とある理由で彼女を苦しめる
資産家の邸宅で悪戯することを提案、
渋るヤンと共に見事に悪戯を成し遂げ、二人の仲は急接近する。
しかし、二人は小さなミスを犯したことに気がつき、
それが原因でピーターを巻き込む誘拐事件へと発展してしまう――。

――といった感じで、恋あり、友情ありの三角関係が、
これでもかってくらいに青春しまくりの映画になっているんですな。
勿論、設定の幾つかには詰めの甘さが感じられるし、
かなり荒削りの作品であることは否めないんだけれど、
作品から若々しい勢いがすんごく感じられるんですね。

ドイツ映画って言うと重苦しいとか観念臭い
といったイメージであんまりよろしくないのかもしれないですが、
この作品はそういったドイツ映画の持つ悪いイメージを
実に軽やかに払拭してみせとります。
多分上記のようなイメージを抱いていた人が観たら、
本作が描き出す、したたるような青春の瑞々しさに
ちょっとドキドキしてしまうかも。

それでいて、本作はドイツ映画らしい観念性も
手抜かりなく描かれているんですから、これはもうちょっとした驚き。
しかもそれが実に自然なんだなあ。
大体、今の日本のご時世で、真面目な顔で


革命が必要なんだ

なんて語れる青春映画がありますかい?
この映画では、三人の若者が実に真面目に社会と対峙して、
彼らなりの答えを手探りで見つけ出そうとしている姿が
描き出されていて、小憎らしいほど眩しいったらありゃしない。

しかも、単に世間を知らないモラトリアムの学生の話に留めずに、
彼らが誘拐することになってしまう資産家が実は
「学生時分には左翼学生組織の幹部」だったことから、

理想と現実の対立、富者と貧者の対立

といった現実社会の構造的な矛盾を実に巧みに
議論させてみせるんですな。議論ですよ、議論。
物語の中で当たり前のように議論するなんて
垢抜けないことを平然とやってのけ、
それがまたちゃんと画になっている。
これをちょっとした事件と言わずに、
何を事件と言ったらいいのだろう。
とにかくこの作品からは、これまでのドイツ映画に見られなかった
新しい息吹きがひしひしと感じられるのは確か。

この作品に溢れた言いようのない疾走感が
単に本作の監督ハンス・ワインガルトナー固有のものなのか、
はたまた「ドイツ映画」全体の胎動の表れなのか、
暫く目が離せそうにないですな。かなりお勧めです。

ベルリン、僕らの革命 2004 ドイツ=オーストリア
監督・脚本:ハンス・ウェイン・ガートナー
出演:ダニエル・ブリュール ジュリア・ジェンチ スタイプ・エルツェッグ
    ブルクハルト・クラウスナー 他
公式
2005年4月29日、bunkamuraル・シネマほかにて全国ロードショー公開

posted by 仙道勇人 at 14:44 | Comment(6) | TrackBack(11) | 試写報告

2005年01月26日

「サーフ・アドベンチャー」を観る

昨日は表参道の試写室でグラッシィさんの配給新作「サーフ・アドベンチャー」を。

サーフィンというと、イメージとしてアメリカやオーストラリアがすぐ出てくるんですが、
この作品はブラジルのトップサーファー達の姿を描いたドキュメント。
ブラジリアン・サーファーって、プロの世界でも知名度が高いらしい。
サッカーとグレイシーとF1(単純だな)くらいしか知らなかったので凄く意外。

内容はサーフムービーの王道とも言える「最高の波探し」。
やっぱり技術が熟練されてくると、もっとエキサイトできる波に乗りたくなってくるんだろうなぁ。
これはサーファーの宿命みたいなものなのかも。
本作でも世界各地の有名サーフスポットを旅しながら、サーフィンの魅力を語り倒しています。
各地で特徴の異なる波を、鮮やかにこなしていく迫力のあるライディングシーンの数々は見事。
やっぱりカッコイイし気持ちよさそうだしで、サーフムービーを観る度にやってみたくなるんだよね……。

もう一つこの作品の特徴は、
出演しているサーファー達がサーフィンだけでなく、
人生を心から楽しんでいる様子がひしひし伝わってくること。
ラテン系のノリがなせるものなのか、
彼らの見せる笑顔がみんなどれも凄く良いんだなァ。
「金はないけど最高に幸せさ」なんて笑顔で断言されちゃった日にゃあ、
スクリーンに羨望の眼差しを送らずにはいられないです。

ただ、サーフトリップシーンと大会の出場シーンが
説明なしで繰り返される構成はちょっとわかりにくい。
それでも単純に観流すだけで、
スポーツとしてのサーフィンの魅力だけでなく
サーフィンと共にあり続ける人生の心地よさ、という
サーフィンの素晴らしさを存分に堪能できる作品になっていると思う。

映画『サーフ・アドベンチャー』
K's cinemaにて初夏、ロードショー公開
お問合せ:グラッシィ 03−5463−8003
 
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posted by 仙道勇人 at 21:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 試写報告

2005年01月15日

「ボーン・スプレマシー」を観る

昨日は「ボーン・スプレマシー」の試写へ。

マット・デイモンと言うと、もうずっと以前から「=ジミー大西」という定式が頭から離れない(ファンの人失礼)んだけど、 今回の彼はちょっと違う。
ぶっちゃけた話、前作ではジミー大西の顔が到るところでオーバーラップして、笑うところではないのに半笑いになってしまったのだが、 今回スクリーン上に現れた彼は、その鍛え抜かれた肉体といい精悍な顔つきといい、 もうジミーなんて呼ぶわけにはいかない堂々としたものとなっていた。
ストーリーは単純明快。自分の代わりに殺された恋人のマリーの復讐と真相の究明。
このシンプル極まりない物語を、手に汗握るサスペンスと血湧き肉躍るアクションのてんこ盛りで畳み掛けるように描いとります。

とりあえず何が凄いって中盤からラストに到るまでのジェイソン・ボーンと敵との攻防戦ね。
余りにもハイレベルな攻防が平然と繰り広げられているんで、正直に告白すると、何が起こってるのかついていけない部分がチラホラ。
でも、何が起こってるのかよくわからないながらもスリル&サスペンスは体感的に感じられるという、まさにマジックのような演出の連続なのだ。
ただ、ストーリーはその分等閑になっている感じ。
この作品は「殺された恋人の復讐」と「自身のアイデンティティーの追求」という二つの軸を同時に処理しているんだけど、 これがどっちにも軸足を置き切れておらず中途半端なんだよなー。
特に話の発端に「恋人の殺害」というメロウなエピソードを持ってきている割に、以降は「自身のアイデンティティーの追求= 『トレッドストーン計画』の真相解明」にひた走っていく感じ。
「マリーが、マリーが」とことある毎に恋人のことに触れるのはいいんだけど、やってることはあくまでも自身のアイデンティティーの追求で、 マリーのことは付随事項に過ぎない感じがありあり。
そりゃあ、クールで孤独な漢のハードボイルドな物語だし、この脚本もアリと言えばアリだろうけどさ、なんと言うか冷徹すぎるんだよね。
ハードボイルドな人物像の魅力って、一見冷徹な中にもその人物独自の弱さというか人間臭さが仄見えるところにあると思うんだけど、 本作のジェイソン・ボーンはその人間臭い部分の見せ方/滲ませ方が下手くそなんだと思う。
だから、結局本作を観終わっても彼の行動原理ってのが全然見えてこない。や、「自分の正体を知りたい」ってのはよくわかるんだけどさ、 これだけじゃ普通の人はピンとこないだろうから、どうしても深いところで彼に共感することができないという……。
まぁ、アクションは超一級なんで、それだけでも楽しめる作品になってはいるんだけど。
それだからこそ、ラストにもっとカタルシスが欲しかったなーと思うのは贅沢すぎる要望なのかな。

それはともかく、本作は冷戦時代を舞台にした原作を現代にアレンジしているのだけど、 そう言われなければわからないくらいなかなか手堅いアレンジが施されていて、イイ感じ。(以下ネタバレ)
でもさ、二年前に足を洗ったエージェントが、 携帯っていう最先端のハードに精通しているってのはどう考えてもありえないよね。 iモードしか知らないような奴がFOMAをハッキングなんてできるわけないじゃん!

ボーン・ スプレマシー 2004 アメリカ
監督:ポール・グリーングラス
原作:ロバート・ラドラム
脚色:トニー・ギルロイ
出演:マット・デイモン フランカ・ポテンテ ブライアン・コックス
    ジュリア・スタイルズ カール・アーバン ジョアン・ アレン他

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posted by 仙道勇人 at 21:19 | Comment(4) | TrackBack(19) | 試写報告

2005年01月06日

「ネバーランド」を観る

昨日は「ネバーランド」の試写へ。
試写終了と同時に帰宅して別件のオシゴトをさばくという、まさに綱渡りな一日。
地下鉄とJRのアクセスがもう少し上手くなるといいんだがなあ。

で、作品ですが。
一応「感動作」ってことになってるんで、
「泣きたい」と思って観に行く人が多いと思うんですが、
本作は「泣き」の物語ではないんで
多分その期待にはあんまり応えられないでしょうね。残念!
まぁ、終盤では鼻を啜る音がそこかしこで響いていましたが。
じゃあなんなのかって言うと、やっぱり感動作なんですな。
ただ、「泣ける」んじゃなくて、「心が洗われる」ようなそんな感動なのです。
とりあえず、「夢?希望?ヌルい事言ってんじゃねーよ、もっと現実と戦えやあああ」
なんて毒を、常々周囲に撒き散らしちゃうようなオトナな人なら
もしかしたら本作を観ることで随分昔に捨ててしまった純真さを
取り戻すとは言わないけれど、束の間思い出させてくれるかもしれんです。

まあ、あざといっちゃああざとい作りの作品ですけどね。
全体的にテーマを盛り込みすぎて掘り下げが甘い部分とかちらほらありますし。
と言っても最低限の描写は施されているんで、分からなくなるということはないですが。
その意味では美味しい部分を少しずつ目一杯詰め込んだ
幕の内弁当的な作品、と言えるでしょうね。
いずれにしても、劇中にしろ幕切れにしろ、ハリウッドにありがちな
「泣かせてやろう的感動の押し付け」は殆ど感じさせないんで、
それなりに見応えのある作品に仕上がってます。
本作でジョニー・デップはアカデミー賞の受賞が囁かれていますが、
他の作品次第では案外いけるかもですね。
ジョニー・デップ専属ヘアメークの人がクレジットされているのにはビックリしましたけど(苦笑)。

とりあえず作中で「ピーター・パン」の内容には殆ど触れないので、
より深くこの作品にハマりたいという人は
とりあえず「ピーター・パン」を熟読してから観に行った方が吉ですな。

ネバーランド 2004年 イギリス・アメリカ合作
監督:マーク・フォースター
脚本:デイヴィッド・マギー
出演:ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレット、ダスティン・ホフマン、フレディ・ハイモア、
ニック・ラウド、ジョー・プロスペロ、ルーク・スピル、ジュリー・クリスティ、ラダ・ミッチェル 他

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posted by 仙道勇人 at 23:58 | Comment(4) | TrackBack(32) | 試写報告

2004年11月03日

「キャットウーマン」をレビュる!

本作は「バットマン・リターンズ」('92)で
悪役の一人として華々しく登場した
キャットウーマンをピンで描いた作品です。
所謂スピンオフ企画モノなわけですが、
かといってB級臭がプンプンしているのかと言うと、
あに図らんやこれが結構マジ。

物語の構図からキャラクター造形に到るまで、
「企画モノ」とは思えないくらいきちんと構築されとりまして、
これにはかなりビックリ。
主人公がヒロインということで、
女性の自立というテーマを中心に
恋あり、アクションあり、サスペンスありの
正統派ヒーローモノ(正しくはヒロイン)映画にしてやったぜっ!
ジャパニメーションが大ブレイク中のフランスパワーを見せたるぜっ!
というようなピトフ監督の荒い鼻息が聞こえてきそうな
結構アツい感じが漂う作品になってますね。
まぁ、感じなだけなんですけど。

とりあえず、一番の見どころであるはずのアクションシーンに
盛り上がりが欠けてしまっているのは、かなり厳しいですわ。
ハル・ベリーはなかなか頑張って身体を動かしてはいるんですが、
やはり相手が全て普通の人間じゃねぇ……。
猫ちゃんパワーで超人的な身体能力を身につけた
キャットウーマンの相手としては役不足の感がありありなわけですよ。

なんつうか、勝って当たり前って言うか、勝たないでどうするよ!
みたいなある種しらけムードが画面に漂っていると言いますか。
圧倒的な力の差をいいことに相手を手玉にとって喜ぶっていうのは、
まぁ、確かに猫的ですわね。
ゴキちゃんを猫パンチで仕留めて、
ピクピクしているゴキちゃんが逃げだそうと
動きだしたのを見計らって追い打ち猫パンチッ!
みたいな、猫っぽさは表されているような気がしますがね。
やはりアクションとしては微妙すぎる演出なわけで。
やはりこう、見せ場やかっこいい見得切りを
バンバン入れて欲しかったなー、というのが率直な感想ですな。

本作のもう一つの売りであるエロティシズムも、
なんて言うか健康的すぎてあんまりエロくないんですよね。
こう、男を挑発する官能性と言うよりは
お色気を頑張っているって感じで
どうにも盛り上がりに欠けますし。
折角鞭を持ってるんだから、もっと有効に使って欲しかったす。
なんつうか、女インディ・ジョーンズってだけで、
鞭+ボンテージコスチューム=官能性っていう公式から
当然導き出されるはずの解が、微妙に違うんだもの……。
その鞭は飾りか?!とね、内心で叫びましたとも。
まぁ、鞭を使ったアクションは結構入ってたんで、
飾りというわけではなかったんですけど。

全体的にストーリーのメリハリが乏しいせいか、
クライマックスと呼べるシーンがあったんだかなかったんだか
よく分からないまま終劇を迎えちゃうんで、
どうしてもモヤモヤした不完全燃焼な感じが残っちまいますな。
設定や構図は割と練られているんですが、
活劇としてはかなり大味な作品に留まっています。

(★★)

この作品についてはINTROの方でも別の角度からレビューしてます。

2004年 アメリカ
監督 ピトフ
出演 ハル・ベリー、ベンジャミン・ブラッド、
    シャロン・ストーン他


11月3日より、
丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー

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posted by 仙道勇人 at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(8) | 試写報告

2004年10月30日

「クリスタル・ボイジャー」

昨日は、ではなくてもう一昨日ですが、
伝説的サーフ・フィルムとして知られる
クリスタル・ボイジャー」の試写へ。

サーフ・ムービーの傑作と言えば
「エンドレス・サマー」の名前がすぐ挙げられるわけですが、
実はこの「クリスタルボイジャー」は
「エンドレス・サマー」と並び称されるほど有名な作品らしいです。

なんで「らしい」のかと言えば、
1972年製作の作品でありながら、
日本ではずっと未公開のままだったんですね。
なわけで、多分殆どの人は本作の名前を聞いたこともないんじゃないかと。
確かに、これまではたとえ一本筋が通っていたとしても
「ドキュメンタリー」というだけで客が呼べないとして
敬遠される雰囲気がありましたから、
これまで日本で公開されなかったのもむべなるかなといった感じ。
でも、良い方向に風向きが変わりつつあるみたいで、
こういう良作の配給に熱意を持っている
独立系配給さんに頑張って欲しいです。

で、作品なんですが、本作の最大の特徴、
と言うか、見どころはラスト23分に尽きます。
この作品は、

サーファーが気持ちよさそうに波乗りしている 

という従来のサーフ・ムービーとは一線を画した領域に踏み込んでいて、
はっきり言ってラスト23分の映像は息を呑みますぜ。
正直、30年以上前の作品であることが信じられないですよ。
そのくらい斬新。

ピンク・フロイドの楽曲「Echoes」がそのまま使われているんで、
フロイドファンは要チェックな一本であることは言うまでもないですが、
先日公開されていた「ステップ・イントゥ・リキッド」を楽しんだ人も
本作も欠かさずチェックしたいところ。

「ステップ・イントゥ・リキッド」もそうでしたが、
この作品も、と言うか、それ以上に大画面で観たい作品です。

 

「クリスタルボイジャー」
12月4日(土)よりシブヤ・シネマ・ソサエティにて
連日夜9時20分レイトロードショー

作品についてはINTROの方で詳しく紹介します。

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posted by 仙道勇人 at 05:45 | Comment(0) | TrackBack(2) | 試写報告

2004年10月29日

「コラテラル」をレビュる!

一部熱狂的なファンを持つ、
あのマイケル・マンの新作です。
マイケル・マン、ってどんな人かと言いますと

ラスト・オブ・モヒカン(1992)
――モヒカン族最期の酋長に育てられた白人青年の愛と闘争を描く。
立場を超えて愛を貫こうとするダニエル・デイ・ルイスがイカす!

ヒート(1996)
――強盗のプロ集団とそれに立ち向かう警察の息詰まる攻防。
アル・パチーノとデ・ニーロによるラスト10分の銃撃戦は余りにも有名。

インサイダー(1999)
――米国タバコ産業の陰謀を知った報道マンの孤独な戦いを描く。
実在の企業を実名で描いた社会派ドラマの衝撃的問題作。

という具合に、「 漢 」を描く人なわけですな。
(インサイダーの後にモハメド・アリを描いた「アリ」もあります)

男同士の燃える友情!迸る絶叫!飛び交う銃弾!
リポビタン・(自主規制)ーーー!
な世界を描く人なわけですよ、ある意味。
いや、実際はアドレナリンがドバドバ大量分泌!
って言うよりは、滲み出すような渋いダンディズム、
男惚れする男臭い浪漫全開って感じですが。

そんなマイケル・マン作品に、
トム・クルーズが殺し屋役で出演すると聞けば
ファンならずとも期待が高まりますわねー。

実際、今回のトムは、
冷酷な表情から厭らしさ爆発のニヤニヤ顔まで、
これまでとは違う表情を見せてくれます。
ここまで逝っちゃってるのは
「マグノリア」のセックス伝道師以来ではないでしょか。
色々な意味で頭のネジが数本外れてる感じなんで、
確かに恐い人っちゃあ恐い人を演じているんですが……。

でも、ちっとも燃えないんですなぁ、これが。
やっぱり、殺し屋vsタクシードライバーっていうのはねえ……。
サラリーマンがイチローと勝負するくらい無理ありすぎ。

もちろん、トムとジェイミー・フォックスが対決するまでに、
見どころはたくさんあるんですよ。
スリルもあるし、サスペンスもある。
「マン節」が炸裂する台詞も随所に鏤められてるんで、
「マン映画」を求める人にもそれなりに楽しめるし。
ドラマの組み立て方は非常に練られてるんで、
見飽きるってことはないんですが。

でも、やっぱり燃えないんですなぁ、これが……。
殺し屋vsタクシードライバーという構図もそうなんですが、
一番気になるのが、
トムがプロの殺し屋らしからぬ行動を
取りまくるってことなんですね。

やはりねえ、一晩で5人の標的を仕留めるっていう依頼は、
もうプロ級のプロじゃなけりゃ無理なわけで。
依頼主だって、確実にやれると判断したからこそ
数いる殺し屋の中から厳選して依頼するわけで。
そういった「暗黙の了解」が、
なぜか全く了解されていないんですわ。

これ、シナリオにおけるトムの行動原理が
「5人の標的を仕留めること」ただそれだけに
集約されちゃっているからなんですよね。

殺し屋っていうのは、基本的に
仕留めるだけでなく仕留めた後いかに姿を消すか
という部分も念頭に動くはずなんですが、
トムの行動からはいかに仕留めるかは見えても、
仕留めた後どうするのかという部分が全く見えないんですね。
ターミネーターじゃあるまいし、
これは誰がどう見てもプロの仕事ではないですよ。

そんなわけで、作品の屋台骨であるはずの
「殺しのプロフェッショナル」という部分が
ぐらぐら揺れまくりの本作は、
例え演出に見るべき部分があったとしても
決定的な一歩が足りない作品になっちまってるんですな。

細部の詰めが激アマなんで、ラストの余韻もしょぼしょぼ。
サスペンスとしては及第点に達した作品なんで
流石に退屈することはないんですが、
基本的に何も残らない作品です。

この作品についてはINTROの方でも書いてます。


(★★+★)

◆◇ コラテラル ◇◆

2004年 アメリカ
 監督 マイケル・マン
 脚本 スチュアート・ビューティー
 出演 トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス、
    ジェイダ・ビンケット=スミス、マーク・ラファロ 他

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posted by 仙道勇人 at 00:41 | Comment(3) | TrackBack(6) | 試写報告

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